研究概要 |
核膜は小胞体とつながった外膜とラミンによって裏打ちされた内膜から成り、細胞分裂時に分解し、分裂終期に再形成される。最近、VCPが核膜形成に関与することが示唆されているが、VCPに関しては不明な点が多い。本年度の研究では以下のことを明らかにした。 (i)VCP-SVIP複合体の同定 VCPはUfd1pと結合し,核膜形成に関わっているATPaseである。昨年度の研究で新規VCP結合タンパク質であるSVIP(small VCP-interacting protein)を同定したが、このタンパク質がUfd1pとは独立にVCP複合体を形成することを示した。 (ii)syntaxin18と結合するタンパク質の同定 小胞体膜は核外膜とつながっているが、小胞体膜に存在する膜融合タンパク質のsyntaxin18が、hZW10やRINT1といった有糸分裂に関与するタンパク質と結合していることを示した。また、syntaxin18はアポトーシスに関与するBNIP1とも結合していることを示した。これらの結果は、syntaxin18が膜融合以外に細胞周期やアポトーシスに関連していることを示唆している。 (iii)VCP構造類似タンパク質であるNVLの解析 NVLはVCPと高い相同性をもつタンパク質であるが、その機能は不明であった。今年度の研究によって、NVLが核小体に局在し、RNAヘリカーゼであるMtr4pと相互作用していることを明らかにした。発現させたMtr4pは核質に存在したが、NVLと共発現させると核小体へと移行することから、NVLがMtr4pの核小体への移行に関わるタンパク質であることが判明した。
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