小胞体-ゴルジ体間輸送においては、小胞体で合成後、ゴルジ体に向けて輸送される蛋白質と小胞体に残留する蛋白質とが見事に選別されている。この選別の分子機構について注目し、小胞体からゴルジ体への輸送小胞が形成される過程で、両蛋白質がいかに選別されるか、1nmのコロイド金を用いた高感度の免疫電顕法を用いて解析した。 本年度は、前年度に引き続き、COS細胞へ遺伝子導入した小胞体膜蛋白質のミクロソーム型アルデヒド脱水素酵素(msALDH)とGFPとのキメラ蛋白質、細胞膜蛋白質のシンタキシン/HPC-1(HPC-1)とGFPとのキメラ蛋白質およびVSV-G蛋白質の細胞内分布を定量的に解析した。その結果、msALDHとGFPとのキメラ蛋白質は輸送小胞から排除され、輸送小胞に検出される密度は小胞体のそれの1/200以下であった。 一方、HPC-1とGFPとのキメラ蛋白質は、小胞体とほぼ同じ密度で輸送小胞に検出され、VSV-G蛋白質は、輸送小胞で小胞体の約2.5倍の濃度に濃縮されていることが明らかになった。(2000年度、日本細胞生物学会発表)。
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