研究概要 |
出芽酵母を用い,分泌経路における小胞形成とリサイクリングの分子機構について研究うを行い,以下のことを明らかにした.1.小胞体からの小胞形成において,Sed4pがSar1p GTPaseのGAPに阻害的に働くことを示した.2.Sar1と類縁のArf1 GTPaseのさまざまなts変異が示す輸送損傷を詳細に解析した.3.Sec12p等の一群の膜タンパク質の小胞体局在化に関与するRer1pが,Sec12pの膜貫通ドメインに直接結合することを示した.さらに,本研究で導入した共焦点蛍光顕微鏡システムとGFP-Rer1pを用い,Rer1pのリサイクリングにCOPIとCOPIIの両方が働いていることを明らかにした.4.シトクロムP450 Cyp51の小胞体局在機構が,過剰発現時には静的残留に加えてリサイクリングも利用していることを明らかにした. 植物の形態形成におけるメンブレントラフィックの意義を明らかにするために,以下の研究を行った.1.植物のRab GTPaseの一つ,Ara4と相互作用する植物タンパク質として同定したSay1について,酵母のypt変異を用い相互作用の様式を詳しく解析した.2.酵母RER1ホログラムとしてシロイヌナズナからAtRER1A,AtRER1B,AtRER1Cを同定し,これらがいずれも酵母rer1変異を相補することを示した.3.植物のメンブレントラフィックの可視化マーカーとして,さまざまなGFP融合遺伝子を作製し,シロイヌナズナに導入した.
|