研究課題/領域番号 |
10216206
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
立花 章 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (20188262)
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研究分担者 |
江島 洋介 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (50127057)
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
藤堂 剛 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (90163948)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2002
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キーワード | DNA再結合反応 / ブルーム症候群 / DNA2本鎖切断 / 染色体不安定性 / RecQヘリカーゼ / 放射線損傷 / アタキシア・テランジェクタシア / 欠失突然変異 |
研究概要 |
細胞核からの抽出液を用いて線状プラスミドDNAを基質とし、DNA2本鎖切断再結合の効率及び誤りの頻度の両方を測定することができる試験管内反応系を構築した。ヒト高発癌性劣性遺伝病アタキシア・テランジェクタシア患者細胞では、再結合反応の正確度が正常細胞よりも低く、しかも特定の欠失が多く見られた。欠失切断点には、非相同組換えに特徴的な数塩基の短い反復配列が見られた。また、別の高発癌性劣性遺伝病であるブルーム症候群(BS)患者由来細胞では、正常細胞よりも大きな欠失が多く見られたが、約40%では、欠失切断点に反復配列が見られなかった。以上のことから、これら遺伝病細胞ではDNA2本鎖切断の再結合に何らかの異常があるものと考えられる。他方、放射線照射したマウス培養細胞の細胞核抽出液では、照射線量などの違いによって再結合反応の効率と正確度に変動が見られた。このことは、放射線照射などの外界からの刺激を受けた細胞内情報伝達系によって、再結合反応機構が制御されていることを示している。しかし、同様の解析をp53遺伝子欠損マウス由来の細胞を用いて行うと、このような放射線照射による変動が見られなかった。したがって、放射線照射等のストレスによって、非相同組換え機構の修飾がp53依存的に誘導されることが明らかになった。また、ニワトリ由来の細胞株DT40を用いて、種々の相同的組換え関連遺伝子の欠損細胞での染色体異常について解析し、この細胞株では、染色体異常の生成には、相同的組換えが主要な役割を果たし、非相同的組換えはそのバックアップ機構として働いていることが明らかになった。また相同組換え機構は姉妹染色分体交換(SCE)形成にも関与しており、このことがBS細胞での高頻度SCEの原因であると考えられた。
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