研究概要 |
ABC蛋白はスーパーファミリーを形成し、種々生理機能に関与しているが、本研究では特に排出輸送活性を有するトランスポーターのcDNAクローニングおよびその機能解析を進めた。多剤耐性癌細胞膜上に発現されるmultidrug resistance associated protein(MRP1)のhomologueとして、すでにラットおよびヒトMRP3をクローニングしたが、ラットMBP3の安定発現株をLLC-PK1細胞をホストとして作成し、その膜ベシクルを調製して輸送機能をcharacterizeした。その結果、MRP3は17β estradiol-17β-D-glucuronideおよび潰瘍性大腸炎治療薬E3040のグルクロン酸抱合体を基質とする点ではMRP1およびMRP2と同等であるが、leukotriene C_4や2,4-dinitrophenyl-S-glutathione等のグルタチオン抱合体はpoor substrateに過ぎない点でMBP1/2とは大きく異なることが示された。これはMRPファミリー間で大きな基質特異性の差異を報告したはじめての例である。また、ラット大脳皮質cDNAライブラリーより新規トランスポーターMRP5(血液脳関門に発現される)の全長のCDNAクローニングにも成功し、現在その機能について検討を加えている。更に、本年度はMRPファミリーの機能を測定するための、baculovirus発現系の確立にも成功を修めており、今後クローン化された遺伝子の機能を測定するための実験系が確立された。
|