研究課題/領域番号 |
10217205
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植田 和光 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10151789)
|
研究分担者 |
加藤 博章 理化学研究所, 助手 (90204487)
鷹野 誠 京都大学, 医学研究科, 講師 (30236252)
天知 輝夫 京都大学, 農学研究科, 教授 (30301245)
|
キーワード | ABCタンパク質 / トランスポーター / チャネル / 動脈硬化 / 膜タンパク質 / コレステロール / 自己免疫疾患 / 生活習慣病 |
研究概要 |
ABCタンパク質は、よく保存されたATP結合領域をもつ膜タンパク質の総称であり、いずれもATPによって駆動あるいは制御されているが、機能はトランスポータ、チャネル、レセプターと多様である。本研究は、ABCタンパク質の機能の多様性の分子基盤を明らかにするために、レセプター型およびトランスポータ型ABCタンパク質のATPとの相互作用の違いを生化学的、分子生物学的、構造生物学的に解明しようとしている。 細胞内および体内のコレステロールなどの脂質のホメオスタシスへのABCA1遺伝子の関与が最近明らかになりつつある。我々はヒトABCA1遺伝子の全長cDNAを単離し、培養細胞に導入した結果、複数の糖鎖付加を受けている全長ABCA1が発現していることがわかった。ABCA1のN末端領域のトボロジーを解析するため、HAタグをN末端あるいは257番目と258番目のアミノ酸の間に挿入したABCA1をHEK293細胞に導入し、抗HA抗体をもちいてウェスタンブロットをおこなった結果、N末端のアミノ酸配列がシグナルペプチドとして切断されているが示唆された。また、蛍光免疫染色の結果、HAタグを挿入した207番目の部位を含むアミノ酸番号45から641の間の領域が、細胞外に突き出しており多くのN結合型糖鎖付加を受けていると考えられた。興味深いことに、ABCA1のアミノ酸番号270から449の間のアミノ酸配列が自己免疫疾患であるシェグレン症候群の自己抗原SS-Nと高い相同性を持つことを見出した。さらに自己抗原SS-Nをコードしている遺伝子の全長cDNAを単離した結果、それはABCA7であり、そのN末細胞外ドメインの一部がシェグレン症侯群の自己抗原をコードしていることを明らかにした。
|