ABC蛋白のMRP2に関する遺伝疾病の生化学的解析、及び肝、大腸での発現様式について明らかにしてきた。 1.脳血管内皮細胞ではP-gp、MRP1の発現が認められ、内皮細胞のネットワーク形成により発現が形質膜上に移行し、活性を示すことを明らかにした。 2.ABCトランスポーターの発現を大腸癌の分化度に応じて検討したところ、低分化癌において、MRP2の発現が低下していることを観察し、この発現低下は転写レベルでの調節であった。C型肝炎ウイルスの感染により、肝臓でのMRP2の発現レベルが著しく低下する事を見いだした。 3.すでにMRP2遺伝子の関与をあきらかにしたDubin-Johnson症候群について、R768Wの変異がmaturationの異常により、また、Q1382Rの変異は形質膜上でのトランスポート活性に影響をあたえていることを明らかにした。 4.MRP2、MRP3のプロモーター領域を単離し、種々のシスエレメントを同定した。腸肝循環におけるABCトランスポーターの役割として胆汁酸付加によりMRP3のmRNAの上昇を観察した。この発現制御にはorphan receptorのFTFが関与する事を見いだした。
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