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2002 年度 実績報告書

アドレノメデュリンと血管リモデリングに関する分子生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10218203
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

平田 結喜緒  東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50135787)

研究分担者 今井 泰平  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (30323679)
七里 眞義  東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教授 (10206097)
キーワードアドレノメデュリン / RAMP / CRLR / VSMC
研究概要

アドレノメデュリン(AM)は単に血管拡張因子としての役割に留まらず、各種血管系細胞において、細胞増殖、遊走、アポトーシスの制御など多彩かつ重要な生理活性を惹起することを明らかにした。AMは血液・尿など体液中にも存在するなど、広く各種細胞系に発現する。AMは血管平滑筋細胞(VSMC)に対して、MAPキナーゼ依存性に細胞の増殖・肥大を促進するが、AM刺激によってCa2+感受性の細胞内チロシンキナーゼ(分子量120kDa)が活性化するとアダプター蛋白(Shc, Grb-2)をリクルートしてras依存性にMAPキナーゼを活性化する。AMによる細胞増殖促進作用は血管内皮細胞(EC)では見られないが、VSMCにおける作用は強力で、オートクリン・パラクリン増殖因子として作用する。一方AMはECに対してはcAMP非依存性に強力なアポトーシス抑制作用を示す。ECではAMは血清除去後アポトーシスの惹起因子でもあるc-myc遺伝子には影響せず、関連蛋白のMax遺伝子を著明に誘導する結果、c-myc依存性アポトーシスに拮抗することを明らかにした。AMのアポトーシス抑制作用もオートクリン・パラクリンとして発現し、低濃度の外因性AMによって明らかな作用を示す。さらにAMはVSMCのchemotacticな遊走を制御するが、その作用はcAMP非依存性であることが明らかとなった。RAMP (receptor activity modifying protein)/CRLR (calcitonin receptor-like receptor)系はAM受容体を構成するが、AMのVSMC遊走抑制作用はRAMP2/CRLR及びRAMP3/CRLR受容体を介して発現する。これらの受容体を発現しないECや線維芽細胞では同様の作用は発現しない。このようにRAMP/CRLR受容体はcAMP非依存性のAMの作用も介することが明らかになった。しかし、AMによる細胞増殖促進作用が見られないECなどの細胞系ではRAMP/CRLR受容体を過剰発現させてもAM添加によってMAPキナーゼは活性化されず、AMのcAMP非依存性作用にはRAMP/CRLR受容体だけでは説明できない作用が存在する。以上のように、AMは最初、cAMPをセカンドメッセンジャーとする血管作動性因子として発見されたが、血管系のリモデリングに影響する種々の重要な細胞応答にはcAMPを介さない多彩な作用があり、さらにRAMP/CRLR受容体を介さない作用も存在することを明らかにした。今後、RAMP/CRLR以外のAM受容体とその情報伝達系の解明が必要となるが、これまでの知見はそうした研究の展開を容易にするものであることは言を待たない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Doi M, Shichiri M, Hirata Y, et al.: "Cytokine-activated Jak-2 is involved in inducible nitric oxide synthase expression independent from NF-κB activation in vascular smooth muscle cells"Atherosclerosis. 160. 123-132 (2002)

  • [文献書誌] Mitaka C, Hirata, et al.: "Atrial natriuretic peptide improves pulmonary gas change by reducing extracellcular lung water in canine model with oleic acid-induced pulmonary edema"Crit. Care. Med.. 30. 1570-1575 (2002)

  • [文献書誌] Shichiri M, Hirata Y, et al.: "Genetic and Epigenetic Inactivation of Mitotic Checkpoint Genes hBUB1 and hBUBR1 and Their Relationship to Survival"Cancer Res.. 62. 13-17 (2002)

  • [文献書誌] Hirata Y, Ishimaru S: "Effects of endothelin receptor antagonists on endothelin-1 and inducible nitric oxide synthase genes in a rat endotoxic shock model"Clin Sci.. 103. 332S-335S (2002)

  • [文献書誌] 平田 結喜緒: "今日の診断指針"医学書院. 2 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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