研究概要 |
Adrenomedullin(AM)およびその関連ペプチドの存在、合成・分泌、生理作用・作用機序について、培養ウシ副腎髄質クロマフィン細胞(発生学的に神経堤に由来)、ラット脳微小血管、種々の平滑筋細胞を用いて、以下の新知見を得た。 1. 副腎クロマフィン細胞 Proadrenomedullin N-terminal 12 peptide(PAMP12;PAMP20のアミノ酸配列9-20に相当)は、きわめて高濃度(pmolオーダー/4×10^6cells)、カテコールアミン、AM、PAMP20と共に、クロマフィン顆粒内に貯蔵されている。ニコチン受容体刺激により、これらの顆粒内容物は、Ca依存性の調節性開口分泌により、細胞外へ放出される。反応液中に添加したPAMP12は、PAMP20とほぼ同じ強度で、ニコチン受容体刺激によるカテコールアミン分泌と生合成・生合成律速酵素タイ口シン水酸化酵素活性を、濃度依存的に低下させた。さらに、PAMP12は、PAMP20と同様に、ニコチン受容体刺激による細胞内へのNa流入、Ca流入を濃度依存的に阻害した。PAMPl2、PAMP20は、ニコチン受容体機能を抑制し、刺激一分泌・生合成連関をautocrine的に調節していることが予想される。 (Journal of Neurochemistry投稿中、Japanese Journal of Pharmacology 76(Suppl.I),1998,136P) 2. 脳微小血管 AM mRNAが発現していることをRT-PCRで確認している。AMは、CGRPと比較して2桁より低濃度でcyclic AMP濃度を増加させ、また、その作用はCGRPとは異なりCGRP[8-37]で拮抗されなかった。AMが脳微小血管で合成され、autocrine的に血管機能を制御している可能性がある。(Japanese Journal of Pharmacology 79(Suppl.I),1999,123P) 3. 子宮、膀胱平滑筋など 子宮や膀胱におけるAM関連ペプチドの発現量が大きいこと、また、これらのペプチドが今迄報告されていない部位に存在することを見出した。当該部位におけるAM関連ペプチドの生理作用、ヒト疾患の治療や診断への応用の可能性について検討している。(未発表)
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