研究概要 |
1.ウシ培養副腎髄質クロマフィン細胞 (1)Adrenomedullin(AM),proadrenomedullin N-terminal 20 peptide(PAMP20),PAMP12はカテコールアミン、クロモグラニンBと共にクロマフィン顆粒内に貯蔵されている。 (2)Protein kinase A(PKA)活性化により、これらの顆粒内容物は開口分泌の様式により構成的に緩徐(6-24時間)に細胞外へ放出された。他方、PKA活性化により、AM関連ペプチドのmRNAレベルは低下し、それらのペプチド合成が阻害されることにより、細胞内AM,PAMP20含量は減少した。 (3)ニコチン受容体刺激により、AM関連ペプチドはCa依存性の調節性開口分泌により細胞外へ急速に放出され、PAMP12,PAMP20はニコチン受容体機能をautocrine的に阻害し、細胞内へのNa流入を低下させ、カテコールアミン分泌と生合成、生合成律速酵素タイロシン水酸化酵素活性を濃度依存的に抑制した。 2.ラット大脳皮質微小血管 AMは濃度依存的にcyclic AMPを増加し、その作用強度はcalcitonin gene-related peptide(CGRP)の約100倍であった。AMによるcyclic AMP増加は、CGRPによるcyclic AMP増加とは異なり、AM[22-52]により拮抗されたが、CGRP[8-37]の影響は受けなかった。RT-PCR法により、AM,calcitonin-receptor-like receptor(CRLR)と、とりわけ、receptor-activity modifying protein(RAMP)のタイプ2のmRNAが、大脳皮質と比較して脳微小血管に高濃度存在することを確認した。AMが、autocrine,paracrine的に脳微小循環、血液脳関門の物質輸送を調節していることが示唆される。 3.ラット摘出子宮平滑筋 AMは、子宮の自発性収縮とブラジキニンによる収縮を濃度依存的に抑制し、これはAM[22-52],CGRP[8-37]のいづれによっても阻止された。他方、オキシトシン、プロスタグランディンF_<2α>による収縮は、AMにより影響されなかった。RT-PCR法により、子宮平滑筋に、AM,CRLR,RAMP-1,-2,-3のmRNAが発現していることを示した。 子宮でのAM,AM mRNA発現量は、副腎髄質に匹敵する程大量であり、さらに妊娠の進行に伴い子宮でのAM量、^<125>I-AM結合量が増加する。従って、AMが妊娠維持に重要であるとの観点から、現在、妊娠子宮での検討を行っている。(特許;発明の名称:子宮筋収縮抑制薬、出願番号:特願平11-177548号、出願日:平成11年6月23日、発明者:柳田俊彦、出願人:塩野義製薬)
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