研究課題/領域番号 |
10218210
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
上田 陽一 産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
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研究分担者 |
野口 淳 産業医科大学, 医学部, 助手 (00330978)
山下 博 産業医科大学, 医学部, 名誉教授 (00030841)
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キーワード | 視床下部 / アドレノメデユリン / オキシトシン / バゾプレッシン / Fos蛋白 / 血圧 |
研究概要 |
アドレノメデユリンは、ヒト副腎髄質由来の褐色細胞腫から発見された血管拡張性の降圧ペプチドである。アドレノメデユリンは、生体内に広範に存在しており、末梢臓器・血管内皮細胞のみならず中枢神経系にも存在している。しかしながら、アドレノメデユリンの中枢におけるその存在の生理的意義は明らかでない。本研究では、アドレノメデユリンの脳内分布とアドレノメデユリンの作用を明らかにすることを目的とした。覚醒ラットの脳室内にアドレノメデユリンを投与すると、血中オキシトシン濃度が増加すること、およびプロラクチン濃度は変化しないことを明らかにした。また、麻酔下のラットを用いて、軸索を下垂体後葉に投射している視床下部室傍核神経分泌ニューロンの神経活動をガラス微小電極を用いて細胞外記録を行った。脳室内にアドレノメデユリンを投与すると、オキシトシン分泌細胞の神経活動が特異的に増加することを明らかにした。一方、バゾプレッシン分泌細胞の神経活動には影響なかった。以上より、ラット脳室内に投与されたアドレノメデユリンは視床下部オキシトシン分泌ニューロンを選択的に賦活することが明らかとなった。さらに、神経活動の指標として最近汎用されているFos蛋白を用いて、視床下部室傍核および視索上核のオキシトシン分泌ニューロンが選択的に興奮することを確認した。脳室内にアドレノメデユリンを投与すると、脳内の他の部位では、視束前野、視床下部腹内側部、青斑核、最後野、孤束核に多数のFos陽性細胞が見られた。したがって、脳室内に投与されたアドレノメデユリンはオキシトシン分泌促進のほかに血圧調節、摂食・飲水調節や覚醒状態に関与していることが示唆された。
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