研究概要 |
1. 液胞の分化転換機構の解析: 種子のタンパク質蓄積型液胞に特異的な膜タンパク質(MP73)のcDNAを単離し,構造解析を行った.MP73は後半にGlutamic acidとArgininに富む13回の繰り返し配列を持つ新規の膜タンパク質で,未知の分子と複合体を形成して液胞膜に結合していることが分かった. 2. 細胞死に向かう組織における栄養器官型液胞プロセシング酵素(VPE)の生理学的役割の解析: 栄養器官型VPEの抗体を調製し,免疫電顕で傷害葉の液胞にVPEが局在していることを確認した.VPE遺伝子の発現様式をNorthem blotで解析した結果,傷害,エチレン,サリチル酸,ABAでは強い誘導が見られたが,ジャスモン酸には応答しないということが分かった. 3. 細胞死に向かう組織で誘導される液胞内分解系の活性発現調節機構の解析: VPEが,細胞死によって液胞内に誘導されてくる加水分解酵素の活性発現を制御している可能性を調べる目的で,システインプロテイナーゼRD21Aに注目した.RA21AとVPE遺伝子の発現様式が類似していることを確認した.RA21Aに対する抗体を作製すると同時に,RD21AをタバコBY2細胞に大量発現させることに成功した.
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