カボチャ種子のタンパク質蓄積型液胞に局在する新規の膜タンパク質MP72の生合成、細胞内輸送を解析した。MP73のcDNA解析から、MP73は高分子量前駆体として合成され、シグナルペプチド、24-kDドメイン、MP73ドメインから成ることが判明した。免疫組織学的及びイムノブロット解析から、ER由来の貯蔵タンパク質輸送小胞であるPAC小胞の膜画分にプロ型MP73が蓄積することが明らかとなった。一方、成熟型MP73はPAC小胞には検出できなかった。この知見は膜タンパク質MP73がPAC小胞を介してERからタンパク質蓄積型液胞に運ばれることを示唆している。パルスーチェース実験から、プロ型MP73はN-結合の糖鎖をもち、ER上で合成された後、PAC小胞を経てタンパク質蓄積型液胞に輸送されること、ツニカマイシン処理により、糖鎖付加が阻害されると、PAC小胞へは輸送されるが、その後、タンパク質蓄積型液胞に蓄積がみられなかった。この知見は、ツニカマイシン処理により、PAC小胞からタンパク質蓄積液胞への輸送が阻害されたか、糖鎖のないMP73が液胞内で不安定ですぐ分解されることを意味している。以上の結果から、貯蔵タンパク質の輸送のみならず、膜タンパク質のERからタンパク質蓄積型液胞への輸送をPAC小胞が担っていることが明らかとなった。
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