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1999 年度 実績報告書

哺乳動物の神経分化を制御する細胞内分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 10220205
研究機関京都大学

研究代表者

影山 龍一郎  京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)

キーワード神経分化 / ニューロン / グリア / Hes / bHLH / ノックアウトマウス / レトロウイルス
研究概要

神経性網膜をモデル系として用いて、ニューロンやグリア細胞の分化がbHLH因子によってどのように制御されるのかをしらべた。網膜では、抑制性bHLH因子Hes5は神経前駆細胞や分化しつつあるグリア細胞に特異的に発現していた。レトロウイルスを用いてHes5を強制発現させるとグリア細胞への分化が誘導され、ニューロンへの分化は抑制された。逆に、Hes5欠損マウスではグリア細胞数が減少した。したがって、Hes5はグリア細胞への分化決定過程を促進することが示された。一方、bHLH因子Hes1を強制発現させるとニューロンやグリア細胞への分化を抑制し、細胞を前駆細胞の状態で維持した。また、ニューロンに特異的に発現するbHLH因子Math3やMash1を強制発現させると前駆細胞からニューロンへの分化を促進し、グリア細胞への分化を抑制した。以上の結果から、神経前駆細胞の維持、前駆細胞からニューロンへの分化、前駆細胞からグリア細胞への分化のいずれもがbHLH因子によって制御されることが明らかとなった。すなわち、これらbHLH因子間のバランスが分化のタイミングや正常なニューロン・グリア細胞数比に重要であることが示された。また、我々は昨年、Hes1とHes5は側方抑制を制御する膜蛋白Notchのエフェクターとして機能することを明らかにしたが、今回の結果からNotchはHes1とHes5を使い分けることによって、神経前駆細胞の維持だけでなくグリア細胞への分化も制御できる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ohtsuka, T., et al.: "Hesl and Hes5 as Notch effectors in mammalian neuronal differentiation"EMBO J.. 18. 2196-2207 (1999)

  • [文献書誌] Isaka, F., et al.: "Ectopic expression of the HLH gene Math1 disturbs neural development"Eur. J. Neurosci.. 11. 2582-2588 (1999)

  • [文献書誌] Tomita, K., et al.: "The bHLH gene Hes1 is essential for expansion of early T cell precursors"Genes & Dev.. 13. 1203-1210 (1999)

  • [文献書誌] Konishi, Y., et al.: "Transcriptional regulation of mouse type 1 inositol 1, 4, 5-triphosphate receptor gene by NeuroD-related factor"J. Neurochem.. 72. 1717-1724 (1999)

  • [文献書誌] Nakamura, Y., et al.: "The bHLH gene Hes1 as a repressor of the neuronal commitment of CNS stem cells"J. Neurosci.. 20. 283-293 (2000)

  • [文献書誌] Jensen, J., et al.: "Control of endodermal endocrine development by HES-1"Nature Genet.. 24. 36-44 (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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