研究課題/領域番号 |
10301001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 哲郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70117711)
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研究分担者 |
花井 一典 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80228501)
山内 志朗 新潟大学, 人文学部, 教授 (30210321)
岩熊 幸男 福井県立大学, 経済学部, 教授 (10135600)
加藤 守通 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40214407)
伊藤 博明 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70184679)
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キーワード | 自由学芸 / 中世哲学 / 言語哲学 / 論理学 / 文法学 / 記号論 / 古代哲学 / キリスト教思想史 |
研究概要 |
1.本年度は最終年度にあたるため、個別の研究発表会を一回行った他、研究のとりまとめのための相互の意見交換、共同の検討会を開催した。 2.中世盛期における学問のあり方と、自由学芸(ことに人文三科)の言語哲学的思索への影響との連動について理解が深まった。神の全能や予定理解と様相論理学の連動をはじめとする神学と言語・論理理論との相互関係について、具体的に知見をえることができた。なお、本研究にとっては副産物であるが、12世紀パリの学校群の実情についての歴史的研究の可能性が、当時の論理学を中心とする写本群の考察を通して浮かんできた(岩熊)。 3.中世哲学の源流である教父(ことにアウグスティヌス)とストア派の論理学との連関について確認した。しかしさらに、西洋中世における言語の哲学を追求していった結果、これまでは主として、ギリシア哲学(アリストテレスおよびストア派)に言語理解のルーツを求めてきたが、これとならんで、そもそも初期キリスト教の思想形成に遡る要素があって、そこに単なるギリシアの遺産を受け継いだというにとどまらない、活力の源があるのではないかという点が見えてきた(パウロの思想等)。初期キリスト教の思想形成自体がギリシア思想との応対を通して成ったものでもある。 4.そこで、ギリシア的なものと出会った初期キリスト教思想形成途上の理論家たちが、どのように言語の問題に気付き、あるいはそれを梃子として思想形成をしたか、そしてそこで起きたことが、その後中世にいたる言語哲学の流れにおいてどのように働いているかを見定めることが今後の課題として抽出された。 5.本研究テーマと、記号一般の理解、図像学とのつながりについても、今後の展開の可能性を認めた。
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