研究課題/領域番号 |
10301001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
清水 哲郎 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70117711)
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研究分担者 |
花井 一典 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80228501)
山内 志朗 新潟大学, 人文学部, 教授 (30210321)
岩熊 幸男 福井県立大学, 経済学部, 教授 (10135600)
加藤 守通 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (40214407)
伊藤 博明 埼玉大学, 教養学部, 教授 (70184679)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 自由学芸 / 中世哲学 / 言語哲学 / 論理学 / 文法学 / ロゴス / 古代哲学 / キリスト教思想史 |
研究概要 |
1 西欧中世言語哲学の起源をめぐっては、(1)古代哲学に遡る流れとして、アリストテレスの論理学部門の仕事のみならず、ピュタゴラス派に遡源する数学・幾何学的探求の伝統、またパルメニデスのひたすら論理にのみ定位する議論の伝統を、通史的方法、および個別のトピックの研究を通して探った。また、(2)自然の生成消滅の背後にあり、それを支えるロゴスという考えの流れについても検討した。(3)これらの両面に関わって、ストア派論理学の役割を検討し、教父アウグスティヌスとストア派の論理学との連関について理解を深めた。さらに、これらと並ぶ起源として、(4)初期キリスト教思想の成立経過においてヘブライの言語理解を受け継いだ要素が浮かんだ。それは、(2)の流れと結びつけば、世界創造に先立つ神の内なるイデアといった思想になるが、さらには言葉の働きかける力や、コミュニケーションにおける言葉の働きについての思索が推定された(パウ口の思想等)。これは今後や研究課題でもある。 2 西欧中世言語哲学の展開をめぐっては、カロリンガ・ルネサンスにおいて、学校教育の整備に伴う、文法学と弁証学の擦り合わせの場において言語についての哲学的思索がはじまったこと、11世紀後半から12世紀にかけてのパリ周辺における展開が、学校教育の場における権力関係と結びついていること、言語を音声レベルで捉える傾向に対して、概念レベルの言語という理解が入ってきたのは、キリスト教の思想伝統からであること等の知見が得られ、あるいは深められた。また、言語理解が、神学上のさまざまな領域で、また学問論等に与えている影響についても個別研究を通して、知見が得られた。 3 言語哲学の流れを、その周辺ないし近接しているトピックとの繋がりで検討するために、分担者が行った遠近法を巡る思想史やエンブレムの思想史(記号一般の理解、図像学にも関係)について多くの知見を得た。
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