研究概要 |
地上で生活する多くの生物は2次元的な生活を営なんでいる.これらの動物は重力空間で行動するという意味で固有の行動様式を持っている.これらの生物に共通な外力(生存条件,不可避的条件)は重力である.地球上に棲む限りに於いてこのことは等しく共通の条件であるために,特別の環境下か特殊な個体で無い限り問題にされることは無い.一度特殊な環境,例えば重力の無い宇宙環境に生物が晒された時,そこには多くの解決しなければならない問題が生じると共に,我々にとって重力とは何であるかを再考しなければならない.本研究課題はこのような研究目的の為に以下のような感覚・知覚および運動に関する個別の研究目的を設定し研究を実施した。それらは(1)頭部の非動化を解除した時に頭部運動を補償するような眼球運動が生じるが,その時の眼球運動が動く視対象物の運動をどのように修飾するかという点について、(2)精密な頭部運動、ならびに眼球運動の計測を行い、被験者の運動印象との関連性を検証することを実験的に検討した。(3)この時,頭部搭載型のヘッド・マウント・ディスプレー上に動画像を呈示し、身体運動が運動知覚に関与する要因を様々な実験変数によって検討した.4)様々な運動方向と速度をもつ運動刺激をプログラムし、パラメータの操作によって簡単に動的視覚刺激が多様に運用できるような基本的システムを作成した.5)作成した視覚的動刺激を頭部搭載型のディスプレー上に表示し、被験者の頭部が運動しても運動刺激自体は被験者の挙動に同期するような事態を設定し検討を加えた.6)同様な事態で眼球運動に動機して視覚的動刺激の、i)速度成分、 )運動方向成分にフィードバックをかけることで眼球運動とインターラクティブな刺激生成事態を可能にする実験状況を確立した.
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