本年度は専門ボランティア論を経験的に調査検証した。専門職主導のボランティア活動の特色として〈専門性〉へのこだわりを指摘することができる。法制度や施設の諸ルールのもとで遂行される専門職業務を、自由意志のもとに〈施設〉institution外部へ延長し、専門活動の実践praxisの空間の創出、それが専門職ボランティアの出現であった。このような出現は、専門職の専門性が実は、自己を(施設〉という空間での限定的な責任行為にすぎないことを反省せざるを得なくなる。専門性の〈施設)での業務活動は、諸ルールによって日常化されるに従って、慣行化され平板化され、そして〈惰性化)される。こうした現象をわれわれは、専門活動の〈制度化〔施設化〕〉institutionalizationと定義する。そして、このように日常化して〈惰性化〉されてしまった専門職行為を〈制度化された専門性〉ないし〈制度化された専門性〉と名付ける。専門職ボランティア活動は、こうして枠づけられ、限界づけられた専門職行為を解放し、可能な限りのクライアント(サービス対象者)との新しい配慮care的行為の実践課題を創出していく。ボランティア行為領域のこのような展開は、今後理論的・実践的にには、専門性を枠づける〈職業〉と〈職能〉の概念的差異を明らかにする必要性に迫られるとともに、〈職能〉というカテゴリーが、〈連帯〉という概念と深く関わり合うということを究明することになるであろう。
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