研究課題/領域番号 |
10301018
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
豊川 浩一 明治大学, 文学部, 教授 (30172208)
|
研究分担者 |
細川 滋 香川大学, 経済学部, 教授 (50117587)
栗生沢 猛夫 北海道大学, 文学部, 教授 (40111190)
松木 栄三 静岡大学, 人文学部, 教授 (50008033)
吉田 俊則 富山大学, 人文学部, 教授 (40240296)
浅野 明 山形大学, 人文学部, 教授 (90133909)
|
キーワード | 社会的結合 / 都市 / 地方 / モスクワ国家 / 社団 / 軍隊 / 教会 |
研究概要 |
1、中世ロシアの中核的な諸都市における社会的な結び付きについては、昨年に引き続き松木がノヴゴロドについて重要な成果を発表した。そこでは、ノヴゴロドだけでなくハンザ商館側の史料を使いながら、ハンザ商館と街区共同体との軋轢の例などが検討されている。ノヴゴロド白樺文書に関してもネレフスキー出土の主たる文書に個別の注釈を加えて解釈する作業は一応完了した。近世都市については、第2点目とも関連するが、豊川が南ウラルのオレンブルクを例に、コサック集団や非ロシア人諸民族(バシキール人など)との対応を考えながら、どのように都市が形成されていったのかを具体的に検証した。 2、モスクワ国家における諸身分の「社団」的性格、その社会的結合形態、軍隊編成を通したロシア社会の性格付けについては、次のような成果があがった。栗生沢はモスクワ大公国の政治構造の問題に着目し、モンゴルのロシアに対する影響が16世紀に現れたとする従来の見解を批判し、それを13-14世紀とみるなど重要な問題提起をした。社会経済の面では、細川が従来見過ごされてきた中世ロシアの商工業者について研究を行った。軍隊を通してロシア社会をみるという重要な視点を提供するものとして浅野の研究があげられる。浅野は17世紀前半のスモレンスク戦争を素材としながら、各々の身分や階級による戦争への影響に注目した。さらに、英国商人のモスクワ滞在記録に関する田辺の研究は、17世紀ロシアの外交官が書き残した史料に対する松木・田辺・豊川らの分析とともに、貴族や士族身分の内政や外交での役割に関する研究にとって不可欠なものである。 3、モスクワ時代の修道院や聖職者団の結合形態については、吉田が精力的に研究を行った。吉田は、ロシアの教会と聖職者たちによる西ヨーロッパとの国際交流が、ロシアの社会と文化にどのような刷新を及ぼしたかという側面を検討した。こうして得られた研究の成果は、全国学会(ロシア史研究会全国大会)で報告された。
|