デデリエ・ネアンデルタール人骨に関する総合的研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10301021
• 研究機関: 国際日本文化研究センター
• 研究代表者: 赤澤 威 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70013753)
• 研究分担者: 米田 穣 国立環境研究所, 化学環境部, 研究官 (30280712) ; 近藤 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (40244347) ; 石田 肇 琉球大学, 医学部, 教授 (70145225)
• キーワード: シリア / デデリエ洞窟 / 西アジア / ネアンデルタール / ムステリアン / 旧石器時代 / 化石人骨 / 子供

研究概要

(1)化石人骨の研究結果
第3層で発見された全資料のクリーニング・接合・復元作業を行った結果、同人骨が、1993年度発見の第1号埋葬人骨と同年齢(約2歳)のネアンデルタール人骨資料であることが確定、同資料を第2号埋葬人骨として定義・登録。
(2)化石人骨の三次元データ化
第2号埋葬人骨全資料のCT形態計測法にもとずく三次元データ化を実施し、そのデータを加工・編集実体モデル創成の準備を行なった。
(3)第2号人骨の実体モデルの創成
2号人骨の三次元データを用いて実体モデルの創成に取り組んだ。
(4)旧石器の研究成果
第3層で発見された旧石器の比較形態学的研究を行なった結果、同資料が、ムステリアンタイプの中期旧石器であることが確定し、化石人骨の研究結果を裏付けた。
(5)動物化石の研究結果
第3層で発見された動物化石全資料の同定を行なった結果、野牛、サイ、イノシシ、シカ等の比較的冷涼湿潤気候に適応した哺乳類が全組成の約半数を占めることが判明した。

研究成果

• [文献書誌] Takeru AKAZAWA: "New discovery of a Neanderthal child burial from the Dederiyeh cave, Syria"Paleorient. 25・2. 129-142 (2000)
• [文献書誌] S.Muhesen and T.Akazawa: "Archaeological Finds from Afrin-Siria"Orientalia Lovaniensia Analecta. 96. 327-335 (2000)
• [文献書誌] O.Kondo,Y.Dodo.and T.Akazawa: "Estimation of Stature from the Skeletal Reconstruction of an Immature Neanderthal from Dederiyeh Cave, Syria"Journal of Human Evolution. 38. 455-473 (2000)
• [文献書誌] H.Ishida,O.Kondou,S.Muhesen and T.Akazawa: "A New Neanderthal Child Recovered at Dederiyeh Cave, Syria in 1997-1998"Peper for the presentation of American Association of Physical Anthropolpgy 2000. 1-5 (2000)
• [文献書誌] T.Akazawa: "Pleistocene Peoples of Japan and the Peopling of the Americas"Ice Age Peoples of North America. 95-103 (1999)
• [文献書誌] Y.Dodo,O.Kondo,S.Muhesen and T.Akazawa: "Anatomy of the Neandertal Infant Skeleton from Dederiyeh Cave, Syria"Neadertals and Modern Humans in Western Asia. 323-338 (1998)
• [文献書誌] Takeru AKAZAWA: "Neandertals and Modern Humans in Western Asia"New York : Plenum Press. 1-539 (1998)
• [文献書誌] 赤澤威: "ネアンデルタール・ミッション:発掘から復元へ フィールドからの挑戦"東京:岩波書店. 1-326 (2000)