研究課題/領域番号 |
10301025
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
高宮 利行 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (90051804)
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研究分担者 |
アーマー アンドルー 慶應義塾大学, 文学部, 助教授 (20202799)
松田 隆美 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50190476)
鷲見 洋一 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (20051675)
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キーワード | デジタル・イメージング / 西洋中世写本 / 西洋初期印刷本 / デジタル書誌学 |
研究概要 |
1. 中世写本、初期印刷本のデジタル画像作成のために最適なハードウェア環境の研究と実験。稀覯書への負担を最小限にとどめ、撮影ページを平面に保つ吸入装憧を備え付けた専用の撮影台(book cradle)を制作し、それとスタジオ撮影用スタンド、カメラ位置を電動で微調節するためのフレームを組み合わせて稀覯書撮影のための最適な環境を構築した。その環境でSHD View-2カメラ(2048 x 2048 pixel,NTT/オリンパス製)と通常のアナログカメラ(4x5 及び 6x7)の両方を用いて稀覯書のデジタル化作業を進めた。前者のデジタルカメラでは1日に200ページの撮影が可能で、稀覯書に負担をかけることなく極めて短期間で完全なデジタル・ファクシミリを作成できることを検証した。またアナログ撮影で得られたフィルムをKodakのPhotoCDシステムでデジタル化することで、活字単位での比較などの書誌学的な研究に使用可能な高精細画像が取得できることが確認された。 2. 1で確立した技術を用いて、15世紀の時祷書をはじめとする中世写本、16-17世紀の挿絵入りの印刷本を中心にデジタル画像を作成し、それらを素材として判読性の向上、デジタル的比較校合の可能性などの書物学的研究をおこなった。また稀覯書のデジタル画像をOCRで処理して電子テクストを生成するうえでの具体的な問題点について、13世紀の百科全書Vincent de Beauvais,Speculum Naturaleの15世紀の刊本のデジタル画像を用いて検証し、初期印刷本に登場する省略記号、連字などを一覧表にして整理し基礎データを作成した。 3. デジタル画像のデータベース化とオンライン稀覯書カタログの作成。近代初期の挿絵入り本を中心に、慶應義塾図書館所蔵の15-17世紀の書物約90点に関して詳細な書誌字的調査をおこない、書誌情報、内容的解説、デジタル画像を中心とするオンライン・カタログのプロトタイプを作成し、Webによる公開の準備をすすめた。
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