研究課題/領域番号 |
10302001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
浅田 和茂 大阪市立大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70067734)
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研究分担者 |
大出 良知 九州大学, 大学院・法学研究科, 教授 (50115440)
大久保 哲 久留米大学, 法学部, 教授 (30213656)
荒木 伸怡 立教大学, 法学部, 教授 (30062665)
上口 裕 南山大学, 法学部, 教授 (10097743)
加藤 克佳 愛知大学, 法学部, 教授 (20202012)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 刑事公判手続の改革 / 刑事手続の実態調査 / 被告人の法的地位 / 事実認定の透明化 / 情況証拠による認定 / 科学的証拠の評価 / 直接主義・口頭主義 / 司法改革の提言 |
研究概要 |
現在の自白中心の刑事公判手続の現状について、刑事裁判官(元裁判官を含む)から聞き取り調査を行うとともに、刑事事件について全国規模で法廷傍聴を行った。この法廷傍聴による実態観察調査については、地域ごとの刑事公判手続の運用について比較調査を行うとともに、特定地域を選んで一定期間に集中的な法廷傍聴を行った。これらの聞き取り調査及び実態観察調査の結果、公判手続の現状について過去にない情報・データを得た。このうち、聞き取り調査の結果は反訳して、資料とした。この実態観察調査に加えて、甲山事件、足利事件、東電OL事件など多数の刑事事件をとりあげ、弁護人など事件関係者からも報告を受けて、公判審理や事実認定の諸問題を検討した。そのうち、重要な事件の報告と検討結果については、これを反訳して、資料とした。これら実態観察調査・事件報告を基礎として、刑事公判審理に関係する理論的な諸問題、とくに刑事被告人の法的地位、情況証拠の扱い方、事実認定の主体や事実認定のあり方などについて、検討した。そのさい、ドイツにおいて当事者の手続関与のあり方を決定する証拠調べ請求権の問題、裁判官の事実認定を審査する方法に関するドイツの「跡づけ可能性」論、アメリカにおいて証拠調べ・事実認定を透明化するうえで重要な科学鑑定の動向など、外国法の検討も併せ行うことで、広い知見の下で、わが国の刑事公判手続の問題点を学問的検討の俎上にのぼせた。これらの理論的検討の結果、情況証拠の取調べ、科学的証拠の評価などで、現状の刑事公判審理にはなお改善すべき点が多くあることを確認し、その改善の方向と方策について議論した。とくに、刑事訴訟における直接主義・口頭主義を積極的なかたちで実質化するために関連諸制度のあり方を検討し、現在の制度・手続を改革する具体的方策をまとめた。
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