研究課題/領域番号 |
10304010
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
儀我 美一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70144110)
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研究分担者 |
小俣 正朗 金沢大学, 理学部, 助教授 (20214223)
伊藤 一男 九州大学, 大学院・数理学研究科, 助教授 (20280860)
神保 秀一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80201565)
佐藤 元彦 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (30254139)
小林 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (60153657)
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キーワード | 粘性解 / 等高面の方法 / 非局所的曲率流方程式 / ナヴィエ・ストークス方程式 / 非線形拡散方程式 |
研究概要 |
結晶成長現象では、表面エネルギーによる平滑化効果も重要である.その効果のみ取り出した方程式が、平均曲率流方程式に代表される曲率流方程式である.一般に表面エネルギー密度は、表面の面の方向により異なり、その方向依存性は滑らかとは限らない.この場合、曲率流方程式の拡散効果は非局所的で、方程式の記述する数理モデル自体も、その正当性の解析は十分とはいえなかった.結晶表面が一変数関数のグラフとみなせる場合は表面エネルギーが滑らかの問題の極限として解が近似されることが自然であることは既知であったが、平面内の曲線の場合には別の困難-特異点の発生-があった.そこで滑らかなエネルギーの場合有効であった等高面の方法を特異なエネルギーの場合に拡張した.そのための粘性解の理論の拡張の過程で比較定理、収束定理の証明をグラフの場合に帰着する方法など粘性解理論にとっても有効な技巧を生みだした.一方等高面法は、不連続関数を初期値とするハミルトン・ヤコビ方程式の解法にも有効であることもわかった. 拡散型方程式には、比較原理が成立しない方程式系も数多く存在する.流体力等のナヴィエ・ストークス方程式はその典型例である.非線形拡散方程式では、その大域可解性は自明でなく、解の爆発等の現象も数多く報告されている.2次元のナヴィエ・ストークス方程式は初期速度か平面上2乗可積分であればその大域可解性は既知であったが、初期速度が空間無限遠で減衰せず単に有界としただけでは、その時間大域可解性は未知であった.このような状況でも大域可解性を渦度方程式を用いることにより示した.また、非線形拡散型偏微分方程式の特異現象を研究する上で鍵となる、自己相似解とその役割についての研究書をまとめた.その中で、初期渦度が平面上可積分の場合の2次元渦度方程式の渦度の時間無限大での漸近挙動についての証明を完成させた.
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