研究課題/領域番号 |
10304011
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
砂田 利一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20022741)
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研究分担者 |
小谷 元子 東邦大学, 理学部, 助教授 (50230024)
藤原 耕二 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60229078)
中野 史彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10291246)
長谷川 浩司 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30208483)
新井 仁之 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10175953)
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キーワード | 離散的ラプラシアン / 離散幾何学 / グラフ / スペクトル幾何 / 固有値 |
研究概要 |
821806 リーマン多様体の離散的モデルである局所有限なグラフ上で定義された離散的ラプラシアンの固有値とスペクトルについて、組み合わせ論及び幾何学的観点から研究し、その基礎付けと応用を与えた。その研究の中で、結晶の中の原子の平衡配置の問題を、有限グラフから平坦トーラスの中への調和写像の理論に帰着させ、グラフの対するアルバネーゼ・トーラスとアルバネーゼ写像の概念に結び付けた。アルバネーゼ写像は、元来代数幾何学に登場する概念であり、グラフ理論においてその有効性が明らかになった。さらに有限グラフのジャコビアン・トーラスの研究を行い、二次形式の理論を用いることにより、グラフの不変量であるガースと複雑度の間の基本関係を見出した。その研究の過程で、格子グラフ上の対称なランダムウォークの推移確率について、局所中心極限定理と漸近展開に関する新しい結果を得た。中でも、漸近挙動に現れる距離関数の幾何学的意味付けを行ったことは、従来の結果を含む著しい成果である。この他、有限生成群の関係式の個数に関する性質を離散的ラブラシアンのスペクトルと関連させて研究し、ネットワークの効率性の問題を固有値の評価と結び付けて考察した。ネットワークの効率性の問題は内外で活発に研究が行われている研究である。その中で、有限グラフのゼータ関数について従来知られている定理の証明を簡略化し、新しい結果も与えた。特に正則グラフの場合は、ゼータ関数に対するリーマン予想の類似が成り立つこと、効率的なネットワークのモデルになることとは同値であることが分かっている。さらに、周期的多様体の上で定義された熱核について、時間無限大における漸近挙動を研究し、局所中心極限定理と漸近展開についての結果を確立した。
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