研究分担者 |
池田 勉 龍谷大学, 理工学部, 教授 (50151296)
中尾 充宏 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (10136418)
増田 久弥 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10090523)
岡本 久 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (40143359)
国府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
|
研究概要 |
非線形偏微分方程式系の大域理論の構築のため,理論的研究の現状・問題点を把握し,殊に局所理論の有効性・限界を明らかにすると共に,大域的分岐理論を構成するために新しい方法の提案をめざして,以下の研究を行った. a) 熱対流問題:局所的な定常分岐理論によって解の空間を制限すれば,固有値問題の単純性が示せ,roll状あるいは六角形のcell状の渦が現れることが示されているが,それらの安定性に関しては,理論的・数値的に明らかでない.実際,roll及び六角形のcellの現れるのは,水平方向周期境界条件の下で縦横比が1: 3 の時であるが,この時には固有値問題は2重性を持ち,固有関数は夫々,roll状及び六角形cell状をしている.従って,その分岐はこれらの境界条件をみたす解の空間の中で,2重固有値を持つ時の局所分岐問題であって,その時の理論は一般に明らかになっていない. 2重固有値を持つ分岐問題を理論的に増田が研究に取組んでいる.数値解析的には,池田が,差分法を用いて数値計算に取組んでおり,六角形cellパターンを初めてシミュレーションによって得た. これらの安定性解析を含めた局所分岐理論の整備は,今後の重要問題である. b) 計算機援用証明法:roll状の解あるいは六角形cell状の解の大域的な分岐構造の解析は,局所解析的理論では不可能で,現在全く理論はなく,その解明は大域理論を構築するための中心的な問題であり,偏微分方程式系の場合の計算機援用証明法の提案と適用を西田・中尾が行いつつある. c) Navier-Stokes方程式:外部問題の解の構成に関して,Reynolds数が小さい時の定常解の構成・安定性に関して最終的な結果を小薗が得た.Reynolds数を大きくして行く時の解の変化が問題である. また岡本は,2次元のいわゆるKolmogorov流に関してReynolds数が無限大になった時の解の特異点の構造を数値的に調べ,乱流との関連を研究した. d) 力学系:大域的な分岐がある意味で縮約されている退化特異点の構造とその分岐の研究と共に,特異摂動的力学系の大域的構造の研究としてConley indexの理論をslow-fast systemと呼ばれるある種の特異摂動的ヴェクトル場に対して構築することをめざして,周期軌道,connecting orbit等の存在条件の研究を國府が始めている.
|