研究課題
基盤研究(A)
銀河の形成と進化の理解は現代天文学における主要課題の一つである。最近のこの分野の研究動向は非常に暗い遠方の銀河を観測することにより、まさに形成途上の銀河(原始銀河)を捉えることに力点が置かれてきている。我々は文部省国立天文台が建設してきた「すばる望遠鏡」(口径8mの光学赤外線望遠鏡)が世界に誇る広視野主焦点カメラの特徴を生かして、従来にない狭帯域ディープサーベイを行い、銀河と活動銀河核の形成と進化の研究を行うものである(通称「まほろば計画」)。「まほろば計画」ではすばる望遠鏡+主焦点カメラ(Suprime Cam)を使い、マルチ狭帯域フィルター(300-500Åステップ)を用いた広域(0.4平方度)ディープイメージングを行い(限界等級=27等)、約1万個の銀河のスペクトル・エネルギー分布(SED)を詳細に研究する。本年度は本計画で使用する狭帯域干渉フィルターの設計を行った。フィルターはすばる望遠鏡主焦点用のためサイズが205×170mmと大きく、且つ平面性を保証するために厚さも15mmになる極めて大型である。フィルターの全面について等価率特性の一様性が保たれること、及び面精度は30mmφでλ/2以下が要求される。さらに温度環境-10℃から+30℃で十分な耐久性を持ち、経年劣化しないことも要求される。これらの要求を満たすフィルター9枚製作した。また、新しい銀河進化モデルを用いた測光学的赤方偏移の決定アルゴリズムを開発した。さらにすばる望遠鏡用の近赤外カメラの基礎開発を始めた。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)