研究課題
基盤研究(A)
遠方銀河の可視赤外線観測に基づいて宇宙パラメータを制限する従来の方法には、銀河進化効果と宇宙膨張効果とが分離できないという原理的な困難がある。この困難を克服する為に、我々は銀河進化に依存しないで遠方銀河までの光度距離を測定する新手法を提案した。この距離決定法は、活動銀河核の可視変動に対する赤外変動の遅延時間の測定によって中心核を囲むダスト層の内径を反響探査原理で決定し、それから紫外/可視絶対光度を導いて活動銀河までの光度距離を求める方法である。この新手法を確立する目的で、モニター観測専用口径2m可視赤外線望遠鏡を製作しマウイ島ハレアカラ山頂に設置し、2000年度にファーストライトを迎え観測を開始した。近傍NGC4151を始めとしたいくつかの活動銀河の試験観測データから、近赤外変動の遅延時間がかつてない精度で得られ、提案した手法が距離の決定に有望であるとの確証を得た。今後数年間にわたって数百の活動銀河を短時間間隔で密にモニター観測し、最大規模の活動銀河変動データベースを構築する端緒についた。1.最新の銀河観測に基づいて完成度の高い銀河進化モデルを構築し、それによって銀河補正量を評価した。この補正を古典テスト(m-Z、Θ-Z、銀河計数)に施して、宇宙パラメータを制限する研究をおこなった。2.SDFで発見された異常に赤い天体は、ダストに覆われた形成中の楕円銀河である可能性を指摘し、銀河形成過程に具体性を持たせた。
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