研究分担者 |
泉本 利章 立教大学, 観光学部, 教授 (80193382)
下浦 享 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10170995)
家城 和夫 立教大学, 理学部, 教授 (10159577)
梶野 敏貴 国立天文台, 教授 (20169444)
柴崎 徳明 立教大学, 理学部, 教授 (50206124)
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研究概要 |
理化学研究所加速器研究施設の放射性核ビームコースRIPSより供給される高速の短寿命核ビームを用い、hot pp mode、hot CNO cycle、rp process中の核反応の測定を行った。これらは、不安定な原子核が関与するため、反応率が実験的に決定されていなかったものである。また、クーロン分解反応の有効性を確かめる実験を行った。一方、太陽ニュートリノ問題に関連した^8B核のクーロン分解反応についての反応機構を詳細に検討した。 1 hot pp modeの反応^8B_<(P,Y)>^9C,^<11>C_<(P,Y)>^<12>N,^<12>N_<(P,Y)>^<13>Oをクーロン分解反応によって調べた。結果は、これまでの予測とはかなり異なっており、hot pp modeの燃焼過程ネットワーク計算に大きな変更を迫ることとなった。 2 ^<13>Nを1/2^+状態にE1励起するクーロン分解反応の測定を行った。得られた断面積からΓ_Y=0.51±0.04 eVが求まり、直接測定による結果0.50±0.04eVと非常に良く一致することがわかり、クーロン分解法が非常に信頼できるものであることを示した。 3 ^<15>Oビームと鉛標的の非弾性散乱によって3/2^+状態(6.793 MeV)に励起した^<15>Oからのγ線を測定した。遷移強度の上限値Γ_Y<0.8eV)を得、その結果、この状態がCNOサイクル核燃焼に与える影響は小さいことがわかった。 4 鉛標的による^<23>Alのクーロン分解から^<22>Mg_<(P,Y)>^<23>Al反応の断面積を求める実験を行った。rp-processで重要な働きをする^<22>Mg核の第一励起共鳴状態へのE2遷移を求めた。誤差は大きいものの、Wiescher等による予想値と矛盾しない結果が得られている。 5 太陽ニュートリノ問題に関連する^8Bのクーロン分解反応について、広い角度範囲のデータを解析した。また、ドイツGSI研究所において、より高いエネルギー(核子あたり254MeV)での実験を行った。その結果はE2遷移の混入は小さいことを示している。これは、MSUでの破砕片運動量分布の測定から得られた結論と矛盾しており、^8Bのクーロン分解反応による高精度な捕獲反応断面積決定のためには、さらに研究が必要である。
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