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1998 年度 実績報告書

多光子励起による半導体量子ドットの励起電子多体効果

研究課題

研究課題/領域番号 10304022
研究種目

基盤研究(A)

研究機関大阪大学

研究代表者

伊藤 正  大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60004503)

研究分担者 枝松 圭一  大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (10193997)
石原 一  大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (60273611)
張 紀久夫  大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60013489)
キーワード半導体量子ドット / 超微粒子 / 閉じ込め電子系 / 電子正孔交換相互作用 / 励起子多体効果 / 多光子励起 / 時間分解分光 / 顕微分光
研究概要

半導体量子ドット中の励起子状態とその高励起状態、多励起子状態の線形、非線形光学現象の解明を目的として、今年度は以下の研究を行なった。
1. 伊藤は(1)CuCl超微粒子の赤外過渡吸収分光により求められた閉じ込め電子励起準位間の吸収スペクトルと大阪府大萱沼、魚住による理論計算結果を比較し、微粒子サイズ変化に伴い弱い閉じ込めから強い閉じ込めに至る中間過程が観測されていることを明かにした。(2)イオンビームスパッター法により半導体微粒子積層薄膜の作製を試みた。(3)走査型プローブ顕微鏡と真空排気装置を購入し、100Kの低温で分光計測が可能なSNOM装置の開発を行なった。
2. 張は、量子ドットのサイズ量子化において従来理論的考察の足りなかった励起子の電子正孔交換相互作用を正しく考慮した計算を球形・円筒形のドットについて行った。その出発点となる相互作用の一般的表現についても考察した。
3. 石原は、量子ドット集合系の光学応答の計算に先立ち、周期的に閉じ込められた励起子がその波動関数の空間構造や準位に応じてどの様に光との結合モードを形成するかを、単純な1次元閉じ込めの場合で調べた。その結果、上述の励起子の量子数、活性部分のサイズ、及びその間隔の関数として、結合モードの輻射シフトと幅がどのように変化するかが明らかになった。
4. 枝松は購入した超短パルスTi:サファイアレーザーを用いて、(1)ZnCdSe単一微粒子発光の顕微ピコ秒時間分解分光を行い、励起子寿命のサイズ依存性や蛍光の明滅現象の強い温度依存性などを見いだした。(2)CuCl超微粒子のピコ秒2光子顕微分光を行い、励起子準位に関する共鳴ルミネッセンスと共鳴光散乱強度の励起エネルギー依存性を求め、位相緩和過程と電子・格子系の有限性の関係を論じた。
以上の結果を基に、次年度は光学非線形現象を含めた理論と実験の研究を展開する予定である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (12件)

  • [文献書誌] B.P.Zhang: "Spontaneous Formation of II-VI Dot Arrays and Wires" J.Cryst.Growth. 184/185. 237-241 (1998)

  • [文献書誌] T.Itoh: "Micro-photoluminescence Spectroscopy of II-VI and I-VII Semiconductor Quantum Dots" Proceedings of the Second Symposium on Atomic-scale Surface and Interface Dynamics. 325 (1998)

  • [文献書誌] K.Edamatsu: "Resonant Secondary Emission of CuCl Quantum Dots under Two-Photon Excitation" Excitonic Processes in Condensed Matter,ed.R.T.Williams and W.M.Yen,The Electrochemical Society Proceedings Series PV98-25. (in press). (1998)

  • [文献書誌] K.Edamatsu: "One and Two-Photon Selective Excitation Spectroscopy of CuCl Quantum Dots" RIKEN Review. 17. 15-16 (1998)

  • [文献書誌] 枝松圭一: "固体の赤外過渡吸収スペクトルの測定" 固体物理. 33. 438-446 (1998)

  • [文献書誌] 枝松圭一: "解説:光で探る半導体超微粒子の励起子物性" 日本物理学会誌. 53. 412-421 (1998)

  • [文献書誌] K.Yamanaka: "Quantum Confinement of 2P Excition and Biexciton in CuCl Nanocrystals" The Bulletin of the Cluster Science and Technology. 1,No.2. 21-27 (1998)

  • [文献書誌] B.P.Zhang: "Intermittent Photoluminescence and Thermal Ionization of ZnCdSe/ZnSe Quantum Dots grown by Molecular Beam Epitaxy" Appl.Phys.Lett.73. 1266-1268 (1998)

  • [文献書誌] T.Uozumi: "Excited-state Absorption of Excitons Confined in Spherical Quantum Dots" Phys.Rev.B. in press (1999)

  • [文献書誌] H.Ajiki: "Effects of Transition Dipole Moment on Exciton States in a Single Quantum Dot" Proc.3rd Int.Conf.on Excitonic Processes in Condensed Matter,ed.R.T.Williams and W.M.Yen(The Electrochemical Society,Pennington,NJ. 262-267 (1999)

  • [文献書誌] K.Cho: "Mechanisms for LT Splitting of Polarization Waves:a Link between Electron-Hole Exchange Interaction and Depolarization Shift" J.Phys.Soc.Jpn.68,No.2. 683-691 (1999)

  • [文献書誌] 浅川秀之: "多層薄膜における閉じ込め励起子の輻射場を介した結合と輻射寿命" -光物性研究会'98 論文集-. 49-52 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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