研究課題/領域番号 |
10304026
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 和芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (70133923)
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研究分担者 |
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30170773)
池田 靖訓 京都大学, 化学研究所, 助手 (20243090)
藤田 全基 京都大学, 化学研究所, 助手 (20303894)
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キーワード | 電子ドープ超伝導 / 高温超伝導 / 中性子散乱 / ミューオンスピン回転 |
研究概要 |
ホールドープ系と比べて研究が立後れている電子ドープ系銅酸化物超伝導体の電子相図の作成に重点を置き、2-1-4系と呼ばれるNd_<2-x>Ce_xCuO_4(NCCO)とPr_<1-x>LaCe_xCuO_4(PLCCO)の単結晶育成と無限層系と呼ばれるSr_<1-x>La_xCuO_3(SLCO)の高圧下合成を行った。育成あるいは合成された試料を、中性子回折とミューオンスピン回転法により、反強磁性転移温度と反強磁性相の体積分率を、また磁化測定、電気抵抗測定により、超伝導転移温度と体積分率を求め、それらの電子ドープ量依存性を研究した。その結果、3、つの電子ドープ系銅酸化物超伝導体は類似の電子相図を示し、電子ドープ系の相図の共通点が初めて明らかになった。相図の特徴として、ホール系と比較して反強磁性相が高ドープ領域まで存在し、超伝導相と隣接している。相境界近傍では互いの相の体積分率は競争的に急激に変化しており、電子ドープ系では静的な反強磁性秩序は超伝導を壊すことがわかった。相境界近傍では、反強磁性相と超伝導相が空間的に不均一に分布している可能性を指摘した。超伝導と磁気励起の関係を調べるためPLCCOの単結晶を大量に作成し、イギリスラザフォード研究所でパルス中性子散乱実験を行った。予備的データ解析の結果では、,ホールドープ系で見られるような、高エネルギー領域での明確な磁気励起がなく、エネルギーの増加と共に、磁気励起の強度が急激に減少していくことが明らかになってきた。この結果は、高温超伝導と磁気励起の関連、ひいては超伝導発現の機構解明に大きな波紋を投げかけると予想される。
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