2次元電子を用いたプラズモン共鳴の測定は、ミアンダーラインをマイクロストリップ線として用いる方法により準備を進めている。マイクロストリップ線を折り畳むことで長さを稼ぎ、検出感度を飛躍的に向上させることができた。これまでの実験では、10mK以下でプラズモン共鳴の線幅が急激に減少し、表面励起による電子の散乱が抑制されていることが示唆されたが、外部から加えた駆動用の交流信号による電子系の加熱も原因の可能性として残されていた。今回用意した電極構造によって駆動信号の振幅を2〜3桁低く押さえることができると予想している。現在、測定は進行中であり、近いうちに結論が得られるみこみである。 イオンを用いる実験では、直接液体表面直下にイオンをおくことができるので、超流動ヘリウム3表面に直接関係した情報が得られると期待される。現在、希釈冷凍機温度でヘリウム4を用いた予備的な実験を終了し、ヘリウム3の実験に移行しつつある。電界放出を用いたイオンの発生にも慣れ、実験計画を実現する目処がついた。 問題点としては、希釈冷凍機の冷凍能力が不足ぎみで、実験に時間がかかることである。来年度の実験経費で改善を図りたい。
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