研究概要 |
本年度が本研究計画の最終年度にあたる.これまでの研究成果をもとに,結果の取りまとめに必要な研究を実施した. 本研究では,超流動^3Heの表面の性質を明らかにするために,He液面上2次元電子のプラズマ共鳴とHe液面下イオンプールの伝導度測定を行った.プラズマ共鳴は測定を終了し,理論的な考察を中心に行った.イオンの実験は超流動^3Heの測定がスタートし当初期待した信号が始めて得られた.測定を継続中である. プラズマ共鳴の測定は,500MHz近傍の高周波数領域で行い,^4He上と^3He上の測定結果の比較から,70mK以下の^3He上でのHe表面上2次元電子系のプラズマ共鳴の緩和率が異常な減少を示すことが明らかになった.その機構について理論的な究明を行った. イオンの実験では、^4Heでの予備的な実験を行い,^3Heでの測定を行った.正および負イオンともに移動度の測定が可能であることを確かめた.^3Heでの正イオンの測定において,^4He不純物の影響によると見られる不思議な温度依存性が観測されたので,^3Heの純度を上げて測定を行った結果,移動度移動度は温度の下降にともなって単調に上昇する結果が得られた.さらに核断熱消磁冷凍機を用いて測定を行ったところ,^3Heの超流動転移にともなう正イオンの移動度の急激な上昇を確認した.
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