研究分担者 |
篠原 雅尚 千葉大学, 理学部, 助教授 (90242172)
竹中 博士 九州大学, 理学部, 助教授 (30253397)
茂木 透 九州大学, 大学院工学研究科, 助手 (80182161)
清水 洋 九州大学, 理学部, 教授 (50178985)
中田 正夫 九州大学, 理学部, 教授 (50207817)
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研究概要 |
地震トモグラフィーによって、西日本から中国東部までの朝鮮半島と東シナ海を含む広い領域での地殻・マントル速度構造を研究した結果、九州西方の上部マントル中にかなり顕著な低速度を持つ小プリューム群が存在することが分かった。深さ40kmのP波速度分布においては大小4カ所の低速度部分が見いだせる。南から1,薩摩半島南西沖、2,甑島西方、3,男女群島周辺、4,五島列島北西沖にある。これらは場所によって異なるが、おおよそ40kmから100kmの深さに分布している。1例として、雲仙普賢岳を通る断面では、低速度プリュームが九州西方の深部から雲仙に向かって浅くなって存在している様子が見られる。これらプリューム群の存在は九州背弧の沖縄トラフ北端から北方で、上部マントルがアップウェリングを起こしていることを示している。マントル・アップウェリングは海洋底拡大と対になって、現在の沖縄トラフ北端の形成と運動に作用しているものと推定される。沖縄トラフ全域を通して、このような顕著な低速度プリュームは存在しないが、台湾北東沖の深さ40kmにやや顕著な小低速度領域とトラフ中間付近(28゚N,128゚Eの近傍)に小低速度領域が存在している。このトラフ中間にある小低速度領域は海底高温チムニー発見地帯と対応しているものと思われる。換言すると、沖縄トラフ全域を通した上部マントルにおいて、その北端、北方である九州西方海域が現在大変活動的であることが分かった。 重力の測定、MT法による地殻・マントル内電気伝導度の調査、アレイ方式によるエアガン観測も行われ、現在データは解析中である。
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