研究課題/領域番号 |
10304036
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福西 浩 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90099937)
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研究分担者 |
長野 勇 金沢大学, 工学部, 教授 (50019775)
坂野井 健 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80271857)
村田 功 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00291245)
高橋 幸弘 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (50236329)
渡部 重十 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90271577)
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キーワード | スプライト / エルブス / 雷放電 / 中間圏 / 熱圏 / 北陸 / 冬季雷 / スペクトル |
研究概要 |
821808 スプライトやエルブスなどの中層・超高層大気の発光現象は、雷雲-地上間の雷放電に起因する準静電場や電磁波で加熱された電子が大気分子・原子に衝突・励起することで発生すると推測されている。これまで行われてきたグレーティング分光計によるスペクトル観測やモデル計算の結果から、スプライト及びエルブスの発光は、窒素分子とイオンの各バンドによる発光が支配的であると考えられている。それらの励起エネルギーの違いを利用して、分子・原子に衝突する電子のエネルギー分布の推定が可能である。本研究では、1998年7月から8月にかけて米国コロラド州で実施されたSPRITES'98観測キャンペーンにおいて、2台のマルチアノードアレイフォトメータを用いたスペクトル観測を実施した。1台には主にN2 1st Positiveを計測する赤色フィルター(560nm以上を透過)を、もう1台には主にN22nd Positiveを計測する青色フィルター(350-450 nmを透過)を装着した。各フォトメータは縦方向に並んだ12の視野を持っており、各チャンネル出力を20kHzで記録した。7例のイベントについて良好なスペクトルデータが得られ、解析の結果、カラム型スプライトの初期発光では著しくN2 2nd Positiveが増光しており、推定される電子温度は発光中に0.1eVから10eVくらいまで激しく時間変動していることが明らかになった。また、エルブスが雷放電の極性によらず、電流値が大きければ高頻度で発生しうろことも確かめられた。本研究では、北陸の冬季雷に伴うスプライトとエルブスについても国内でのフォトメータとCCDカメラを用いた光学観測からその存在を初めて証明し、2点からの立体観測にも成功した。北アメリカ、オーストラリア以外でのスプライト・エルブスの観測は初めてであり、冬季の雷雲についても世界初の成果である。
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