研究概要 |
今年度は,本研究の最大の手法である,走査電子顕微鏡の設置と運転,およびそのための補助手段となる,イオンスパッターと偏光顕微鏡の購入に主眼が置かれた.それらは,順調に運転されており,既に多くのデータが出されている.特に,走査電子顕微鏡(日立製S3000N)は,低加速電圧での映像もとらえることができ,さらに画像処理も容易なので,日常的に多くのデータをたやすく得ることができ,研究の迅速化が計られた.それによる論文は,以下の国際学会でそれぞれ発表される.本年度3月(フランス,ストラスブール)で2件,来年度4月(アメリカ,カリフォルニア州)に3件,9月(イギリス,エディンバラ)に2件.また,従来から継続している研究について,今年度は多くの論文を発表した.それらには,本邦の付加体の構造とその一部の重要な構造要素に含まれる組織についてのものが含まれる.特に新しい成果として,バルバドス付加体の組織と本邦付加体の組織との比較であり,前者が著しい剪断を伴うにもかからわず,後者は流動を主とし,より高い間隙水圧による,注入現象が顕著であったことが分かった.
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