研究概要 |
本年度は最終年度であるため,今までの研究のまとめを行い,さらに緊急性を要する課題について重点的に研究を行った.3年間の間に,付加体に取り込まれる深海堆積物と現在深海底に堆積しているものとは,変形,続成ともに大いに異なることが分かったので,今年度はそれを具体的に知るために,最も古い付加体であるスコットランドのサザンアプランズと,最も若い房総半島嶺岡帯およびオマーンのものについて,さらに現世の深海底からのODP Leg 185(北西太平洋)の4者についての比較検討を行った.スコットランドのものは5-4億年前のオルドビス紀のもの,嶺岡帯のものは古第三紀,オマーンのものは,トリアス紀と白亜紀後期,ODP Leg 185のものは白亜紀前期および後期である.それにより,時代に関係なく,付加体に持ち込まれたケイ質堆積物は,すべて層状チャートとなること,オブダクションしたものは層状チャートになりにくいこと,深海底では,全くならないことなどが判明した.ケイ質微化石を含むケイ質堆積物は,深海底では,オパールAをへてCTから石英にいたるほぼ連続した変化が認められ,それを定量的に明らかにした.それ以外についてもタイ国,韓国,大西洋などの深海堆積物またはそれを含む地層の記載を進めた. 結論的には,深海堆積物は,付加体に持ち込まれる際に主要な変形,続成を受けること,それまではすべて中程度の続成にとどまることが判明した.
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