研究課題/領域番号 |
10304039
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平 朝彦 東京大学, 海洋研究所, 教授 (50112272)
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研究分担者 |
村山 雅史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50261350)
大河内 直彦 北海道大学, 低温研究所, 助手 (00281832)
阿波根 直一 東京大学, 海洋研究所, COE研究員 (30359161)
石井 輝秋 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (80111582)
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (10107451)
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キーワード | 白亜紀 / チヨーク / 黒色頁岩 / 無酸素事件 / ラン藻類 / 炭素同位体 / 硫黄同位体 / 青潮 |
研究概要 |
本年度は、以下の研究を行なった。 (1) イタリア白亜紀チョーク層のうち下部白亜紀と中部白亜紀の地層、とくに黒色頁岩を挟む地層の詳細な岩相の記載。これに関しては約200枚の薄片の観察と画像の取り込みを行なった。 (2) この結果、黒色頁岩中に魚の化石が含まれていることが発見された。これは、黒色頁岩が無酸素状態で堆積したことを示す証拠であり、現在、鑑定中である。 (3) セノマニアン/チュロニアン境界の黒色頁岩を挟んで炭素同位体の重い値への変化が認められる。また硫酸化合物の硫黄同位体比は、大きく重くなる。これらは、有機物の堆積、硫酸還元菌による軽い硫黄の固定(硫化鉄)を示す。 (4) 黒色頁岩層の中に、放散虫の薄いラミナが見つかった。これの成因については、以下のように考える。黒色頁岩は密度成層した水塊の発達によって堆積した。しかし、放散虫のラミナは、この水塊構造が一時的に壊れて、有機物に富む無酸素水塊が表層にターンオーバーしたとき(青潮の発達)に放散虫が増えたことを表す。この仮説を検証するためのデータを現在取得中である。 (5) 黒色泥岩に含まれる有機物の窒素同位体比より、この有機物を作った生物は大気からの窒素固定を行っていたことがわかってきた。また有機物の分析より、脂質としてホパノールとホパン酸を多く含み、また色素としてはクロロフィル分解生成物に比較してカロチノイド系化合物が少ないことがわかってきた。これらの特徴は、この黒色泥岩の有機物は、貧栄養環境にすむラン藻類起源であることを示している。 (6) 白亜紀の無酸素事件について、何が原因であったのかを探るために、詳細な白亜紀古地理図を作製している。
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