研究分担者 |
下林 典正 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70235688)
ウォリス サイモン 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30263065)
平島 崇男 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90181156)
森 健 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80125963)
北村 雅夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70004489)
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研究概要 |
本研究の目的は岩石の融解反応と固液の分離,マグマ形成のプロセスとメカニズムをマントルに由来する超塩基性岩と高温変成帯に産する部分溶融岩,ミグマタイトの観察と分析を通して解明することである.特に露頭規模の不均質構造,層構造の定量的から顕微鏡,電子顕微鏡レベルの微細構造,組織,化学的不均質構造までのキャラクタリゼーションを正確に行い,不均質構造形成の素過程の物理モデリングの結果とすりあわせを行う.この目的のために研究室における微小領域元素分析システムの整備が先ず重要な課題である.初年度の平成10年度は微小領域元素分析システム更新の第一段階として,日立製の走査電子顕微鏡を購入し,設置,調整を行った.同時に次年度購入予定のエネルギー分散型X線分析装置導入の準備を行いつつある.現在得られつつある研究成果は以下のとおり.(1)変成岩の事例研究としては,九州の肥後変成帯と三重県青山地域変成帯のミグマタイトの分析研究を行った.前者については副成分鉱物であるジルコンの分布の偏りと組成累帯構造の分析を行い,後者については,電気石の分布の規則性を見いだし,電気石消失でアイソグラッドが定義できることを領家帯で初めて見いだすことに成功した.現在これらの研究成果の投稿準備中である.(2)中国蘇魯帯の超高圧変成岩について精密な分析作業を行い,信頼できる温度圧力経路を求めることで本地域の超高圧変成岩(エクロジャイト)が等温減圧パスをたどって地表に上昇してきたことを確認した.(3)超塩基性岩研究の事例としては,共同研究者とともに北海道幌満カンラン岩体の岩石学的,地球化学的データの一連の分析を行いカンラン岩の部分融解による分化過程のモデリングと,マフィック岩の層構造形成に関する仮説を立て,その成果は現在それぞれGeochim.Coscochim.ActaとJour.Petrologyに投稿中である.
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