研究課題/領域番号 |
10304045
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
村江 達士 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50011747)
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研究分担者 |
山内 敬明 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30242259)
北島 富美雄 九州大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40274427)
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キーワード | 原始地球環境 / 化学進化 / 細胞膜 / 古細胞 / エーテル脂質 / Thermoplasma acidophilum / Sulfolovus sp. / 膜透過性 |
研究概要 |
1.初期地球の環境としてマグマオーシャンの時期における加熱・冷却過程を想定した模擬実験を行った。反応系にはホルムアルデヒドと炭酸カルシウムを存在させ、通常のホルモース反応に相当する反応が起きるか否かを検討した。結果は糖に相当するものも生成していたが、その他に枝分かれした鎖状炭化水素と推定される化合物の生成が確認され、古細菌の細胞膜脂質との関連に興味が持たれる。 2.イソプレンを燐酸水溶液とTHFの混合溶媒中室温で長時間攪拌したところ、ゲラにオールが有機相中に生成することが確認され、水相にイソプレノイド燐酸エステルが生成している可能性が示唆された。 3.イソプノレイド燐酸エステルを合成し、内部に蛍光物質を含んだ球形膜を形成させ、周囲の溶媒の酸性度を変えて、蛍光物質の漏出速度を測定した結果、Ph4.5で最も漏出速度が遅くなることが明らかなった。これは、イソプレノイド燐酸エステルが原始地球環境が酸性であったとする説にとって都合のよい膜形成物質であることを示す。 4.古細菌のうちで最も原始的であると推定されているThermoplasma acidophilam を培養する際に、炭酸ガス濃度をあげると増殖曲線の立ち上がりが早くなることが確認された。 5.古細菌の細胞膜脂質の基本部分であるグリセロールジイソプレノイドエーテル燐脂質を全合成した。 6.古細菌Sulfolobus sp.を温度を変えて培養し、全脂質をESI/LC/MSで分析したところ、脂質成分によって、培養温度に対する感受性に差があることが明確になった。
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