研究課題/領域番号 |
10304053
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
有機化学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
深澤 義正 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50004502)
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研究分担者 |
岩本 啓 広島大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80304393)
灰野 岳晴 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80253053)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 分子認識 / ホストーゲスト化学 / フラーレン系超分子 / カリクサレン / 自己会合ホスト / 分子ピンセット / 化学シフト計算法 / 分子動力学計算 |
研究概要 |
生体内においては組織間、細胞間、分子間などの様々なレベルでの識別が行われている。生命体の特異な機能を理解し、さらにそれを利用するためには、これら識別の基本となる超分子生成の分子構造的な機構解明がなされなければならない。本研究では超分子生成のための相互作用の内で最も弱いファンデルワールス相互作用が主要因である、カリックス[5]アレンとフラーレンとの超分子錯体の生成とその熱力学的解析と溶液中での構造、さらにこの超分子形成において溶媒和と脱溶媒和が重要な役割りを果たしていることを明らかにした。また、水素結合や配位結合で自己集合するホスト分子を用いてフラーレンの捕捉と放出を制御することに成功した。さらに水素結合などの極性な相互作用を用いるゲスト捕捉を行うため、カルボキシル基を複数個組み込んだカリクサレンホストを合成し、各種の含窒素環状ゲスト(ウレア、ジケトピペラジンなど)との超分子形成について研究した。これらのゲストがホストの空孔に捕捉される際に、ホストの芳香環とゲストのCHとのCH-π相互作用が重要な役割りを果たしていることを明らかにした。さらにこれら捕捉されたゲストがホストの空孔内でどの程度運動の自由度を持っているのかを検討するため、分子動力学計算を用いてこれらの超分子の運動を解析し、その妥当性をNMRの化学シフト計算法を用いて証明することに成功した。DNAのインターカレーターとして知られている平面π電子系化合物を電荷移動相互作用を用いて効率よく捕捉する分子ピンセット型のホストを合成し、各種の電子受容体ゲストとの超分子形成について研究した。フェナントレンやナフタレンなどの芳香環を組み込んだホストは溶液中でも平面ゲストを効率よく捕捉したが、溶液中のゲストの配向は結晶中のものとは異なっており、ゲストに対する溶媒和がホストの空孔内での配向を支配していることを明らかにすることに成功した。
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