研究課題/領域番号 |
10304054
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
そ合 憲三 東京理科大学, 理学部, 教授 (90147504)
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研究分担者 |
柴田 高範 岡山大学, 理学部, 助教授 (80265735)
佐藤 格 東京理科大学, 理学部, 助手 (80318196)
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キーワード | 不斉自己触媒 / ピリミジルアルカノール / 不斉合成 / ジアルキル亜鉛 / 自己増殖 / 水晶 / アミノ酸 |
研究概要 |
2-アルキニルピリミジルアルカノールが不斉自己触媒となり、ジイソプロピル亜鉛の2-アルキニルピリミジンカルバルデヒドヘのエナンチオ選択的付加反応において不斉自己増殖することを見出した。きわめて低い鏡像体過剰率(0.6%e.e.)の2-アルキニルピリミジルアルカノールを不斉自己触媒として用いたところ、量が自己増殖しながら鏡像体過剰率が著しく向上した。得られた化合物をつぎの不斉自己触媒反応の触媒として用いる操作を繰返すことにより、鏡像体過剰率は99%e.e.以上に達した。さらに、2位がメチル基の生成物を酸化開環することにより、アミノ酸であるバリンに鏡像体過剰率を低下させることなく誘導できた。これらにより、痕跡量のきわめて低い鏡像体過剰率のピリミジルアルカノールがあれば、これが不斉自己増殖しながら、鏡像体過剰率が向上し、さらに化学変換によりL-バリンが生成する化学ルートを確立したことになる。また、ジイソプロペニル亜鉛について、アルデヒドの高エナンチオ選択的な不斉アルケニル化反応を行った。つぎに、水晶存在下での不斉自己触媒反応を検討した。水晶には右水晶と左水晶とが存在し、両者は互いに鏡像異性体である。右水晶存在下でジイソプロピル亜鉛をピリミジンカルバルデヒドに作用させると、絶対配置がSである95-97%e.e.のピリミジルアルカノールが収率95-97%で生成することを見出した。左水晶存在下では絶対配置Rのピリミジルアルカノールが生成する。以上、本結果は、無機化合物である水晶が、有機化合物の不斉の起源となる得ることを示す意義をもつものである。
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