研究概要 |
ランタニド(III)-遷移金属多核錯体における金属間相互作用を明らかにする目的で、三核錯体[Ni(II)(L){Ln(HBpz_3)_2}_2](Ni(tdo)Ln_2;H_4L=H_4tdo=l,3-trimethylenebis(oxamide), Ln=Eu, Tb, Yb orNi(edo)Ln_2;H_4edo=1,2-ethylenebis(oxamide);Ln=Sm-Lu;HBpz_3=hydrotris(pyrazol-1-yl)borate)および二核錯体[(acac)Cr(III)(ox)Ln(BHpz_3)_2](Cr-Ln;Ln=Eu,Gd,Tb,Yb,Lu)を錯体配位子法によって合成した。Ni(tdo)Ln_2とNi(edo)Ln_2はX線構造解析によって平面4配位Ni(II)を含み、Ln(III)は四方逆プリズム八配位(SAPR-8)で、その絶対配置はΔ_<SAPR>-Λ_<SAPR>のメソ型の三核構造であることが明らかになった。反磁性のNi(II)を通してのGd-Gd間の磁気的相互作用は小さい。また、Eu(III)とTb(III)錯体の発光スペクトルはいずれも観測されず、これはoxamido架橋を通しての励起状態のLnからNiへのエネルギー損失によるものである。一方、Cr-Lnはoxalato架橋二核構造で、Ln(III)はSAPR-8であるが、その絶対配置はΔ_<oh>-Λ_<SAPR>(Λ_<oh>-_<SAPR>)である。Cr-Gd間は弱い反強磁性であった。EuとTbからの発光スペクトルいずれも観測されない。 さらに、ラジカル錯体については、NIT2-pyが二座配位子としてNi(II)錯体の合成に成功して、磁気的相互作用や電子スペクトル、NMRにおける共存配位子効果を明らかにするとともに、トポロジカルな磁気的相互作用に関する知見を得ることが出来た。また、「MCl_2biS(IM2-py)](M(II)=Ni,CO,Mn,Zn)を合成し、これらはX線構造解析でtrans-py構造で、Ni(II)とCO(II)錯体は強磁性相互作用をしていることがわかった。6-メチルピリジル誘導体NIT2一MepyとIM2-Mepyでは、[CoX_2(L)](X=Cl,Br)が得られ、X線構造解析での四面体構造であることが確認され、いずれも反強磁性である。
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