研究概要 |
ラジカル配位子NIT2-pyとIM2-pyを含むCr(III),Ni(II),Co(II),Mn(II),Zn(II),Ln(III)(Y,Nd-Lu)錯体の合成に成功し、UV-Visと磁化率測定から、金属イオンとラジカル間の磁性を検討した。[Ni(acac)(tmen)(IM2-py-κO)]PF_6,[MCl_2(L)](M=Co(II),Mn(II),Zn(II);L=NITmpy,IMmpy),[MCl_2(Im2-py)_2],[Y(β-diketonato)_3(IM-2py)],[Sm(β-diketonato)_3(IM-2py)],[Yb(β-diketonato)_3(IM-2py)]については、X線構造を決定した。共存配位子は、Cr(III),Ni(II),Ln(III)(Y,Nd-Lu)錯体ではβ-diketonato(hfac,tfac,acac,dbm,dpm)であって、それらの置換基効果による磁気的相互作用が及ぼす電子スペクトルヘの影響について、基礎的なデータを集積できた。Cr(III)とNi(II)錯体のスピン禁制d-d吸収帯強度のラジカル配位による強度増大と電荷移動吸収帯強度とに相関があることや(IM2-py)Ln(III)錯体のIm2-pyのπ→π^*遷移が低エネルギーシフトすること、[Ni(acac)(tmen)(IM2-py)]PF_6では、(hfac)_2錯体とは違って、強磁性的相互作用で、Ni-ON結合(NIT2-py-κ-O)であることが分かるなど新たな知見が得られた。Gd錯体については、対応する強磁性的なNIT-2py錯体とは違って、弱い反磁性的相互作用があることも分かった。反磁性Y(III)やLu(III)の[Ln(β-diketonato)_3(IM-2py)]型錯体のIM2-pyの^1HNMRは、常磁性分子にもかかわらず、反磁性的な挙動を示す。
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