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1998 年度 実績報告書

溶液内クラスター構造と遷多状態における溶媒和の立体効果に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10304057
研究種目

基盤研究(A)

研究機関九州大学

研究代表者

石黒 慎一  九州大学, 理学部, 教授 (80111673)

研究分担者 宮島 徹  九州大学, 理学部, 助教授 (40128103)
キーワードラマン分光 / 非水混合溶媒 / 溶媒和 / 立体効果 / ランタノイド金属 / 配位数 / 溶媒構造
研究概要

イオンおよび錯体を含む溶媒和クラスターでは、複雑な分子構造をもつ溶媒分子が複数、集合化する結果、クラスター中に立体効果が発生する。この立体効果には2種類のタイプがあり、その第1は「強い立体効果」で、金属イオン周りの配位数の低下をともなう。第2は「弱い立体効果」で、金属イオンに直接配位していない構造部分で2面角にゆがみが発生する。いずれも、反応エンタルピーの負性が強まり安定度が著しく高まる。我々はこれまで、混合溶媒中の金属イオンの全溶媒和数をX線回折やEXAFS法により決定してきたが、各溶媒成分の溶媒和数を個別に見積もることができなかった。本年度は導入したラマン分光測定装置をもちいて、溶媒和数を各溶媒成分ごとに決定する方法論を開発し、ネオジム(III)、ガドリニウム(III)、ツリウム(III)イオンに対して、DMF-DMA混合溶媒中の各成分の溶媒和数を見積もった。DMF-DMA混合溶媒中、DMA分率の上昇にともない、DMF分子はDMAに置換されるが、4個のDMA分子が配位するまでは8配位構造を維持していること、さらにDMAが配位すると配位数が低下することがわかった。また、NMFはDMFと違い、強い水素結合形成能を持ち、溶媒クラスターを形成する溶媒である。DMF-NMF混合溶媒中でコバルト(II)クロロ錯体の生成定数および固有電子スペクルを決定し、それらの溶媒組成依存性について検討した。生成定数はNMF分率が上昇すると小さくなること、すなわち、溶媒構造が強化されると錯体の安定度が低下することがわかった。また、テトラクロロ錯体の電子スペクトルは溶媒組成に依存することがわかり、錯体は配位子を通してNMFと水素結合し、多様なクラスターを形成することが示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] S.IShiguro: "Solvation Steric Effect and Chloro Complexation of Alminium(III)in N,N-Dimethylformamide andN,N-Dimethylacetamide." J.Chem.Soc.Faraday Trans.94. 647-651 (1998)

  • [文献書誌] M.Komiya: "Kimetically Hinkered Reaction ofBis(2,2‘-bipyridine)Chloro andThiocyanato-N Nickel(II)Complexes with2,2‘-Bipyridine in N,N-Dimethylformamide" J.Chem.Soc.Faraday Trans.94. 2769-2774 (1998)

  • [文献書誌] S.IShiguro: "Strong and Weak Sokvation StericEffect on Lanthanide(III)Ions inN,N-Dimethylformamide-N,N-dimethylacetamide Mixtures" J.Chem.Soc.Faraday Trans.94. 3607-3612 (1998)

  • [文献書誌] M.Komiya: "On the Complexation of Ag(I)andCu(II)ions with poly(N-vinylmidazole)" Reactive&functional Polymers. 38. 183-195 (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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