研究課題/領域番号 |
10304060
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
堂免 一成 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10155624)
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研究分担者 |
野村 淳子 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (60234936)
和田 昭英 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (20202418)
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キーワード | ソフトケミカル / 層状金属酸化物 / 層剥離 / ラマン分光法 / レーザー分光法 |
研究概要 |
本研究では薄膜化した光触媒を測定の対象とするため、ソフトケミカルな手法で層状金属酸化物粉末の層構造剥離し、再び基板上に薄膜として再構成する新しい手法を検討した。従来では電気化学的手法、CVD(chemical vapor deposition)、MBE(molecular beam epitaxial)等が薄膜作成に用いられてきたが、これらの手法における装置は複雑であり、薄膜作成条件を設定することは容易ではないため、複雑な層状金属酸化物の層が規則正しく配向した薄膜を作成することは困難と考えられる。本研究においで層構造は(a)アミノ化合物のインターカレート、及び(b)湿式粉砕の2つの方法によって剥離し、分解した酸化物層が分散する剥離水溶液を基板にスピンコートし、ウロコ鉄鉱型Ti系層状金属酸化物CsxTi_<2-X>/4□_<X/4>O_4(x=0.73,□:defect)薄膜、Nb系層状金属酸化物K_4Nb_6O_<17>薄膜を作成することに成功した。両薄膜では金属酸化物層が表面に対して規則正しく平行に積層していることが確認された。本研究で得られた薄膜を硝酸ニッケル水溶液、塩化白金酸水溶液に浸した場合、薄膜の層間にNi^<2+>、Pt^<4+>をインターカレートできることが明らかになった。このことは層状金属酸化物薄膜が原料粉末と同等のイオン交換能を有することを示している。更に、層間に[Ru(bpy)_2(H_2O)_2]^<2+>やメチルビオロゲン等の有機金属錯体、有機化合物をインターカレートした薄膜を作成する方法を確立した。 本研究において薄膜化した層状光触媒はバルク構造、表面構造、電子構造、物性、反応性の多角度から評価された。レーザーラマン分光、赤外分光によって薄膜の構造、表面構造の解析を行い、計算から得られた構造、電子状態の結果と比較した結果、薄膜の構造は剥離前の材料に比べて非常に複雑であることが明らかになった。なお、レーザー分光によるダイナミクスの解明では予備的な研究が既に行われており、現在本格的な研究段階に入った。
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