研究概要 |
1. インシュリンとリセプターとの結合に続く標的蛋白質(IRS-1)のリン酸化というインシュリン情報伝達に基づき,生理適合性を有するアゴニスト・アンタゴニスト選択性評価法を開発した.インシュリンリセプターの標的蛋白質として12残基からなるIRS-1の断片ペプチドを用い,インシュリン刺激による断片ペプチドのリン酸化量を測定した.新規糖尿病治療薬トログリタゾンがインシュリンリセプターには直接作用しないことを明らかにした. (Anal.Chem.70,2345-2352(1998)) 2. アゴニスト結合によりイオンチャンネルを透過するイオン量を指標としたアゴニスト選択性を評価する方法を開発した.興奮性シナプスに存在するグルタミン酸リセプターの一種であるNMDAリセプターを用い,内部にCa^<2+>を含有したNMDAリセプター包埋リポソームを作製し,このリポソームにアゴニストを投与したときに放出されるCa^<2+>イオンをイオン選択性電極で検出した.本法がCa^<2+>透過量に基づくアゴニスト選択性を評価できる検出システムであることを示した.(J.Pharm.Biomed.Anal.,19,205-216(1998)) 3. ラザロシド(Las)はドーパミンをH^+濃度勾配をエネルギーとして,またバクテリオロドプシン(bR)は光エネルギーを利用してH^+を輸送する能動輸送蛋白質である.Las,bRを同時包埋したリポソームを作製し,光照射によりbRが生起したH^+濃度勾配により,リポソーム内に能動輸送されるドーパミンをサイクリックボルタンメトリーにより定量検出した.外部溶液の85%のドーパミンがリポソーム内に輸送されることがわかった. (Biosensors&Bioelectronics,13,1157-1164(1998))
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