研究概要 |
1.サイクリックGMP(cGMP)の蛍光プローブ分子を開発した.cGMPの結合によるPKGIαの構造変化を蛍光シグナルとして検出するために,緑色蛍光蛋白質(GFP)の変異体であるCFPおよびYFPを,PKGIαのN-及びC-末端に連結した.この融合蛋白質をコードするcDNAを哺乳類細胞にトランスフェクションし,cGMPの結合により蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が増加することを確認した.cGMPに対する応答は可逆的で,細胞内のcGMP濃度変動に対応できるプローブ分子であることを明らかにした.(Anal.Chem.72,5918-5924(2000)) 2.蛋白質のスプライシング反応を用いた蛋白質-蛋白質間相互作用検出法を開発した.プローブ分子として,スプライシングを起こす蛋白質VDEのN末側にGFPのN末側を,VDEのC末側にGFPのC末を結合した.これらプローブを相互作用する蛋白質カルモジュリンとM13ペプチドに連結し,大腸菌内で発現させた.カルモジュリンとM13存在下では510nmの蛍光極大が観測された.蛋白質相互作用により,VDEのN末とC末が近接しスプライシング反応が起こり,GFPが形成されることを確認した.本法は細胞種を問わず原理的にいかなる蛋白質-蛋白質間相互作用を解析できる一般性のある方法であることを示した.(Anal.Chem.72,5151-5157(2000)) 3.血清中の抗原特異的イムノグロブリンE(IgE)の定量法を開発した.高親和性IgEリセプター(FcεRI)はIgEのFc部位と特異的に結合するリセプターである.抗原がIgEに結合するとマスト細胞上のFcεRIが架橋し,細胞内カルシウム濃度が上昇する.このカルシウム濃度変化を指標として,抗原特異的IgE濃度を測定した.(Anal.Chem.72,2653-2658(2000))
|