研究課題/領域番号 |
10304065
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大日方 昂 千葉大学, 理学部, 教授 (40012413)
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研究分担者 |
佐藤 成樹 千葉大学, 理学部, 助手 (40261896)
阿部 洋志 千葉大学, 理学部, 助教授 (00222662)
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キーワード | 筋原線維 / コフィリン / アクチン結合蛋白質 / アクチン / アクチン繊維 / 筋原線維形成 / 横紋筋 / 骨格筋 |
研究概要 |
筋原線維の形成と維持におけるコフィリンの役割を明らかにするために、コフィリン欠損あるいはコフィリンの機能抑制の状態で筋に何が起こるかを中心に調べた。 1)コフィリンはイノシトールリン脂質(PIP_2)の結合により活性抑制が起こる。筋細胞内でPIP_2によるコフィリンの機能抑制を導くために、PIP5キナーゼをcDNAトランスフェクションにより発現させ、PIP_2量を増した場合に、骨格筋および心筋のいずれでも筋原繊維の形成阻害が見られた。これらのことから適度なコフィリンの作用が筋原繊維形成に必要と考えられる。 2)マウスをモデルにコフィリン欠損が骨格筋に与える影響を個体レベルで調べるために、骨格筋で主要な役割を果たす筋型コフィリンを欠損するES細胞(MCF-/-細胞)を作成、このES細胞によるキメラマウスを作成した。MCF-/-細胞に由来する骨格筋では、筋繊維の顕著な大小不同がみられ、また単核細胞が集中して、筋組織の壊死・再生を示すなど筋ジストロフィー様の所見がみられた。さらに電子顕微鏡観察で、キメラマウスの筋では、全く正常な筋原線維をもつ筋細胞と、筋原線維が崩壊した筋細胞とがキメラ状に混在していることが見られた。前者はMCF+/+の胚細胞由来、後者はMCF-/-のES細胞由来と推定される。このことは、コフィリン欠損(MCF)が筋に深刻なダメージを与えることを示す。筋原繊維形成および筋原繊維の維持にコフィリンは不可欠的に重要な役割をもつことが明らかになった。これらのことから適度なコフィリンの作用が筋原繊維形成に必要と結論した。
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