研究分担者 |
栃原 裕 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50095907)
岩永 光一 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70160124)
原田 一 千葉大学, 工学部, 助教授 (70156511)
佐藤 方彦 文化女子大学, 大学院・家政学研究科, 教授 (10038937)
安河内 朗 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (20136568)
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研究概要 |
日本人の体温調節能の特徴を捉えるために生理人類学的手法を駆使し多岐にわたる観点から検討を加え,以下の新たな知見を得た。 1.日本人成人男性(11名)の変動温熱環境における生理反応や温冷感等を測定し,被験者の体格との関連を検討した結果,体脂肪率の大きい人の方が体幹部皮膚温の変化が大きく,逆に末梢部皮膚温の変化は体脂肪率の小さい人ほど大きい傾向が明かとなった。 2.寒冷地出身者(北海道,東北地方出身者7名)と温暖地出身者(九州地方出身者7名)における高温環境下での温度感覚や生理反応を比較検討した結果,皮膚温は温暖地出身者が寒冷地出身者よりも高い値を示していたが,皮膚温の変化量で比較すると寒冷地出身者の方が大きかった。 3.温冷感や熱的快適感と中枢神経系の変化との関連を検討した結果,温感の上昇に伴って脳波のβ2帯域が増大し,快適感の上昇に伴ってα1帯域が増大する傾向が認められた.前額部の脳血流量は,特に温冷感の変化に対応していることが明かとなった. 4.暑熱環境下における児童(31名)と青年(16名)の体温調節反応を比較し,児童は男女ともに青年に比べて直腸温の上昇を有効に抑えられるが,発汗能力は青年に比べると児童は明らかに劣ることが明かとなった。 5.日韓の民族服である和服と韓服を両国の女子学生それぞれに着用させ,冬季の寒冷曝露中,及び夏季の高温曝露中の生理的,心理的諸反応を比較し,T-シャツ,ショートパンツを着用した日韓両被験者の耐寒,耐暑反応には違いが認められ,その違い方は民族服にみられる衣文化の差によってさらに異なることが明かとなった。 6.熱帯から寒帯までにわたって地球上に広く分布している様々なモンゴロイド系グループについて今日までに発表されている体型資料を用いて,体重・体表面積比(Y)と居住地の年平均気温(X)との関係式を算出し,日本人は男女ともに,この関係式によく合致した状況にあることが明かとなった。
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