研究課題/領域番号 |
10305004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松重 和美 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80091362)
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研究分担者 |
堀内 俊寿 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10238785)
夛田 博一 京都大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40216974)
山田 啓文 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40283626)
石田 謙司 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20303860)
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キーワード | 分子エレクトロニクス / フラーレン分子 / 走査プローブ顕微鏡 / 局所電子物性 / 非接触原子間力顕微鏡 / ケルビンプローブ顕微鏡 / 表面電位 / 界面電荷移動 |
研究概要 |
走査プローブ顕微鏡は、試料表面に局在する物理量を機械的探針によって直接検出することが可能なことから、少数分子系における電気的性質を探る上で必要不可欠な手段となる。しかしながら、電気的測定においては分子系の電気的な分離の必要性から、絶縁体基板をベースとすることになり、その動作に試料の導電性を必要としないAFMを用いねばならない。本年度の研究では、近年進展の著しい非接触動作AFMを用いて、ユニークな電子物性を示すフラーレン分子(C60)の高分解能観察・局所電子物性評価を行った。 C60分子は、超高真空中でSi(111)7x7再構成表面上に堆積された後、非接触AFMによって観察・評価された。Si基板表面に単分子層以上のC60分子を堆積すると、走査領域全体において探針―試料間相互作用が一様であるため、非常に安定な観察が可能となることが見い出された。さらにC60分子の堆積量を3分子層相当までに増やして行くと、島状の分子結晶が成長していく過程が観察された。島状結晶のテラス表面では、六方構造で結晶を組んだC60分子を観察することができた。格子周期は約1nmであり、分子のファンデルワールス半径に一致した。 一方、Kelvin法による局所的な表面電位測定を用いて、分子―基板間の電荷移動を評価することが可能となる。この方法によりC60分子薄膜とSi(111)表面の間で起こる電荷移動を評価することを試みた。測定結果は、島状結晶部と単分子層部では異なる表面電位をもつことを示し、SiのダングリングボンドからC60単分子層に向けて電荷移動があること、電荷移動は単分子層より上に位置する島状結晶内の分子には起こりにくいことを明らかにした。
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